<広島5-1阪神>◇28日◇マツダスタジアム

 上々の4番デビュー!!

 広島岩本貴裕外野手(25)が阪神戦でプロ入り初めて4番に座り、1回にいきなり中前へ先制タイムリーを放った。将来の主砲候補と期待され、08年のドラフト1位で入団。昨季14本塁打をマークしたスラッガーにとって記念すべき第1歩だ。連勝で早くも09年9月以来となる月間勝ち越しも決めた。

 スラッガーとしてのステージが、また1段上がった。打線の顔が務める4番の大役。岩本は重圧を簡単に振り払った。1回1死一、二塁。阪神岩田の初球を振り切る。内角速球に詰まらされた打球は渋く中前へ。夕暮れ前のマツダスタジアムで、先制点を記録した。

 岩本

 積極性をなくしたらいけない。とにかく負けないように。しっかり振り切った分、いいところに落ちてくれた。打順は関係ない。チャンスが来れば、積極的に行くと決めていた。

 無心でバットを振り抜いて試合の主導権を握った。前日27日阪神戦でプロ入り初めて4番に起用された。開幕から不動だったトレーシーが腰の張りを訴え、巡ってきた代役だ。雨天中止になり、仕切り直しの1戦。4番初打席で理想の仕事をこなしてみせた。

 この日の試合前まで全13試合で先発出場していたが、6番で打率2割8厘、ノーアーチと振るわなかった。それでも、指揮官のタクトに応えた。

 野村監督

 これまで結果が出ていないけど、打てば自信になる。試合に最初から出て、状態うんぬんよりも1本の安打が、いい薬になる。

 長い野球人生で「4番」はもっともなじみのある響きだ。プロ野球選手を夢見た少年時代。旧広島市民球場のスタンドでスラッガーのオーラに何度も触れた。特に金本のパワフルな打撃に魅了され、いまは背番号10を後継する。

 広島商、そして亜大では1年秋から4番だった。「(普段の)6番より打席が回ってくるのが早い。6番と違って、準備するタイミングが違う」と苦笑いを浮かべたが、プロの4番として第1歩を踏み出した。

 好調な先発篠田の好投を呼び込む先制打で、勝利に貢献。阪神に連勝し、貯金を再び今季最多タイの4に戻した。早々と4月の月間勝ち越しも決めた。09年9月以来の1カ月間の勝ち越し。4月の勝ち越しに至っては05年(12勝10敗1分け)以来だ。開幕ダッシュを決めて今日29日から、昨季の大敵だった中日戦のためナゴヤドームに乗り込む。序盤戦最初の見せ場も、ヤングカープの勢いで乗り切ってみせる。【酒井俊作】