<日本ハム2-4ソフトバンク>◇8日◇札幌ドーム
おいしい場面をありがとう!
ソフトバンク小久保裕紀内野手(39)が、前打者の2打席連続敬遠の重圧をはねのけ、同率首位を呼び込む決勝2点二塁打だ。日本ハム先発の斎藤佑樹が1回で降板するアクシデントで始まった首位攻防戦。右手首小指側の痛みを抱えつつ強行出場した主将が、故障禍に悩まされるチームを救った。
極限の重圧がのしかかる局面で、小久保は冷静に自らをコントロールしていた。同点の9回。日本ハム捕手大野は立ち上がらなかったが、2死三塁で4番カブレラが歩かされた。2打席連続敬遠で迎えた勝負の直前。ネクストで小久保は、時計を確認していた。
「4時28分(試合開始から3時間28分)だったからな。延長はない。最後の打席。ここで決めたろ、と思った」。
10年以上も続けるイメージトレーニング。余計な力みを消す方法は心得ている。打席に向かう前、歯を食いしばって全身に力を込める。そして、スッと体をリラックスさせる。実は毎日、就寝前にベッドで欠かさず行っている。重圧を心地よいストレスに変化させる術が、勝負どころで生きた。コンパクトに外角直球をとらえ右中間に二塁打。決勝の2点をたたき出し、痛む右手でナインとハイタッチだ。
「結構、手は痛かったけれど強行して出ました。佑ちゃんと対戦したかったけど、打席なかったんで寂しかった。まあ、最後に打ててよかった」。
日本ハム斎藤が1回だけで降板し、対戦が流れたことを悔やんだ。前日7日に右手首小指側へ死球を受けて退場。一晩中、冷やし続けても痛みは消えなかった。フリー打撃は時間短縮の軽めで切り上げた。チームは故障禍のまっただ中。左親指を痛めた松中は2軍調整中。内川が右太もも裏痛でベンチスタートを続け、この日はオーティズが左太もも痛で抹消された。首脳陣に自ら切り出した。「行けます」。言った以上は、結果を残したかった。
「フリーも(全力で)できないくらい。でも、練習で5割で振れたら、試合で行ける」。
チームを救い、日本ハムと同率首位に押し上げた。主将として、仲間を思う気持ちが言葉ににじんだ。
「オーティズもケガして、今は松中もいない。皆で頑張るしかない。(2軍調整中の)馬原が帰ってくるまで、この位置にいると、皆で話している」。
プライドも忘れてはいない。目の前でカブレラが2打席歩かされたことを質問されると、豪快に笑った。
「短い野球人生。ああいう経験もいい。そういう境地になってきた。どんどんああいう場面で回ってくる方がいい。どんどん敬遠してください」。
背番号9は、おいしい場面を逃しはしない。【松井周治】



