佑ちゃんに試練の時が訪れた。左脇腹を痛めた日本ハムのドラフト1位、斎藤佑樹投手(22)が9日、札幌市内の病院で精密検査を受け、腹斜筋の筋挫傷で全治2~3週間と診断された。1軍復帰には1カ月以上かかる見込みで、17日から始まる交流戦前半での復帰は絶望的となった。1軍に同行し、9日に仙台入りした佑ちゃんだが、13日にもチームを離れて2軍施設のある千葉・鎌ケ谷で調整する見込み。

 思わぬアクシデントから一夜明け、斎藤の表情は険しかった。9日、午前中に札幌市内の病院でMRI(磁気共鳴画像装置)検査を受けた診察結果が、思わしくなかったからだ。左腹斜筋の筋挫傷で全治2~3週間。画像からは、患部の炎症がはっきりと見て取れたという。「昨日と痛みは変わらないです」。新千歳空港に現れた斎藤は小さな声で状態を説明すると、他の1軍選手とともに足早に仙台行きの飛行機に乗り込んだ。

 前日の8日ソフトバンク戦(札幌ドーム)で先発した斎藤は、1回を3者凡退に仕留めたところで左脇腹の痛みを訴えて降板した。当初は軽症と思われたが、精密検査の結果は「思ったよりも良くなかった」(福島チーフトレーナー)。1軍復帰には1カ月以上かかる見通しで、交流戦前半の復帰は絶望的。順調に回復すれば交流戦の終盤には間に合う見込みだが、幸いこの期間は先発投手の駒が少なくて済む。当面の先発ローテについて吉井投手コーチは「いないものとして考えている」。プロ1年目だけに、無理をさせず6月24日のリーグ戦再開から復帰という可能性も高い。

 今後1週間は炎症を抑えることを優先し、ノースローで調整。2週目からキャッチボールを始めてトレーニングの強度を上げていく。ブルペン入りが可能になるのは3週目以降で、2軍戦での登板を経て1軍復帰というスケジュールが、現段階で描ける復活への青写真だ。「早く戻りたい気持ちはあるけど、焦っても仕方がない。トレーナーと相談して、やれることをやるしかないですね」。トレーニングは走り込みや下半身のウエートが中心になりそうだ。

 今は試練の時。「けがの功名」と笑える日が来るかは、斎藤の心がけひとつに懸かっている。【中島宙恵】