<オリックス3-2広島>◇20日◇京セラドーム大阪

 オリックスが31試合目にして、12球団最遅の連勝を飾った。「LEGEND

 OF

 Bs

 2011~蘇る黄金の70’s~」と銘打たれ、阪急のユニホームが再び復活した広島戦。試合前に相手のミスを指摘し、陽動作戦もハマった執念采配が勝利を呼んだ。12球団の開幕投手で唯一白星のなかった木佐貫も初勝利。岡田監督、してやったりだ。

 阪急の凱歌(がいか)が流れるベンチ裏。今年一番といえる岡田彰布監督(53)の笑顔がはじけた。75年、広島を破って球団初の日本一に輝いた当時の復刻ユニホームで挑んだ広島との再戦。31試合目、10度目の挑戦でついに、連勝の壁を破った。「そんなんお前、今ごろ言うてもしゃあないやん」。言葉とは裏腹、執念采配がズバリとハマっての白星だけに、痛快過ぎる1勝だ。

 試合前のメンバー交換後、広島がDHに投手の今村を入れていたことに気づくと、すぐ審判の元へ。「DHにアテ馬入れとる。DHは1打席立たなアカンやろと言うたったんや」。敵将に「アーッ」と天を仰がせ、ドヤ顔だ。「(DHは)そのままいくしかないやろ」。ルール通監督はしてやったりだった。

 陽動作戦が呼んだ。この日の先発候補は右の木佐貫と左の中山で、同じような調整をさせた。試合前練習中、三塁側で野村監督と談笑したが相手の狙いは見透かしていた。「先発聞きたかったんちゃうか。言わへんかったけどな」。結果、広島はDHに偵察要員を入れざるを得なかった。

 2回に打順が回ってきた今村がバントしたことに木佐貫も「投手のところに野手が入ってくるのがDHの怖いところ。(今村が)そのまま打席に入ってくれたのはプラスでした」と“感謝”した。粘りの投球で7回1失点。12球団の開幕投手で唯一白星がなく、前回は救援で敗戦処理にも回った男が、7戦目にして白星をつかんだ。

 「今回が最後のチャンスと思ってました。嫁さんのジイちゃんは漁師で、海の上で何回も死にかけて念仏を唱えたそうです。僕も腹をくくって、低め低めとか、マウンドでブツブツ念仏を唱えながら投げました」。

 必死に投げたエースに勝ちがつき、岡田監督も喜んだ。「1つ勝ったら変わっていくと思うで」。勇者でつかんだ大きな1勝。一気の3連勝で反攻だ。【松井清員】