<横浜2-0日本ハム>◇23日◇横浜

 横浜森本稀哲外野手(30)が古巣から値千金の1発を放ち、チームを連勝に導いた。0-0で迎えた4回。武田勝のスライダーを完璧に捉え、移籍第1号を左翼席中段にたたき込んだ。一塁ベース手前で右拳を突き上げながら、三塁を回るまで走るスピードを緩めず全力疾走。昨年7月8日ソフトバンク戦以来となる久々のアーチに笑顔を見せながらも「試合に勝てたのが一番うれしい」と、最下位脱出を決めたチームの勝利を喜んだ。

 夢が現実となった本塁打だった。前夜、武田勝の直球を左翼に本塁打する夢を見たという。その正夢の裏には、しっかりとした読みと気持ちの切り替えがあった。「ずっと後ろを守っていたからカウントを取るスライダーがくるのでは」と配球を予測。そして、小細工をしたら術中にはまるため「仮想クリーンアップという大きい気持ち」で打席に立ち、思い切り振り切ることだけに集中した。

 尾花監督も「思いもよらない1点だったね」と驚いた先制弾。へんとう炎で入院し、復帰後は黒星が続いた。自身の調子も上がらず肩身の狭い苦しい思いもしたが、この1発で見事に払拭(ふっしょく)。それでも「目標はAクラス。一喜一憂せずやっていきたい」。浮上を目指す横浜に、頼もしいムードメーカーが帰ってきた。【佐竹実】