<阪神1-6オリックス>◇6日◇甲子園

 どっちがホームか分からんぞ!

 関西ダービーで屈辱の甲子園連敗。三塁ベンチで白い歯がまぶしかったオリックス岡田彰布監督(53)は「うちのええ時に当たってもうたな」と余裕の高笑いだ。阪神真弓明信監督(57)は眉をひそめて「のんびりしとったらアカン」。守れず打てずの3連敗で借金11にたまらずコーチ陣に引き締めを指示した。

 甲子園の三塁ベンチ裏にオリックス岡田監督の声が響いた。

 「こっちが一番ええ時に当たったからな。打線もつながっているし」。

 過激な発言を自重しながら、連日の快勝で沈めた古巣について語っていた。前監督にやりたいようにやられた真弓監督は、コーチ会議でゲキを飛ばすしかなかった。

 「もう1度、イチからやり直そう!」。

 各部署の担当コーチにも直接注文を出していったようだ。「打撃コーチに対しては、不調の選手への指示も出していた」とチーム関係者は言う。指揮官が首脳陣の引き締めに動いたコーチ会議は通常の倍以上となる30分を超えても続いていたという。

 勝利への執念を失ってしまったのだろうか。チームは泥沼の状態にハマりこんだ。下柳の乱調に加え、守乱があった。貧打は相変わらずで、指揮官の表情にも焦燥感がにじんだ。

 「みんなが(調子を)上げていかないと。のんびりしとったらアカン」。

 借金は連日のワースト更新で「11」。この数字から、過去にクライマックスシリーズに進出したチームは08年のオリックスしかない。まだ3位の巨人とは4・5ゲーム差で悲観することはないが、自軍が最悪の状態を抜け出さないと話にならない。

 指揮官が担当者に細かい指示を出さなければならないほど、試合内容は悪い。この日も球場の雰囲気は回を追うごとに悪くなった。3回には柴田が中前打をファンブルし、ピンチを拡大。藤井彰の三塁へのけん制も悪送球になり、タイムリーエラー。7回には久保田が暴投を連発し、追加点を許した。打線も4番新井がことごとくチャンスをつぶした。最終回に1点を返すのがやっとだ。守りのミスに貧打では、どうしようもない。

 「流れが悪い。何とか攻撃で勢いがつけばと思っているが…。いろいろやりながら…」。

 具体的な打開策が見えてこず、真弓監督も言葉に詰まった。6月に入っても、1勝4敗。なかなか流れが変わってこない。主力外しなどのカンフル剤を打つ考えは、まだ指揮官にはない。それは最後の手段になってくる。そうなる前に、浮上の糸口を見つけなければ、シーズンはこのまま終わってしまう。【田口真一郎】