<広島8-6楽天>◇16日◇マツダスタジアム

 来日初登板の楽天ケルビン・ヒメネス投手(30)にとって“嵐のデビュー戦”になった。2回5安打4失点と崩れた。3点リードされた6回から登板したが、試合を決定づけられた。強い降雨の影響を受け、守備でも課題を残した。苦い経験を糧にし、交流戦明けの先発登板で無念を晴らす。

 広島の作戦に、ヒメネスがまんまと引っかかった。1-4で迎えた6回2死一、三塁。わざと飛び出した一塁走者を、必死で追いかけた。二塁ベース方向から回り込んだが、追いかけすぎた。そのスキを突いた三塁走者がホームイン。投手前田健の打席で、やってはいけない5点目を許し、悔しそうに天を仰いだ。

 「1軍で初登板がリリーフだったけど、もう少し緩急を使えればよかったね」と淡々と振り返った。昨季、韓国リーグで14勝をマークした新戦力右腕。春季キャンプで右肩を故障し、地道にリハビリしていた。2軍6試合で4勝0敗、防御率3・00をマークして初昇格したばかり。本職の先発ではなかったが、交流戦明けの調整登板の意味も込めた登板だった。

 しかし、初マウンドは最悪のコンディションだった。降りしきる雨に、足元が、手元が狂う。ルーキー塩見の後を受けて2番手で登板も、制球が定まらないうちに、先頭天谷に安打された。俊足を警戒して一塁へけん制すると、大きくすっぽ抜けて指先を確認するしぐさを見せた。その後の挟殺プレーの判断もまずかった。内野連係がスムーズでなく、1軍経験の浅さを露呈。自らの守備のミスでリズムを乱すと、7回に4安打3失点して降板した。

 それでも結果ほど、悲観する内容ではなかった。最速は144キロをマーク。制球が甘くなって痛打されたが、内角を厳しく攻める度胸があった。チェンジアップ、スライダーを軸に、シュートと変化球は多彩。不慣れな中継ぎで登板させた星野監督は「まあまあ。先発だったら、また違うだろうな」と10連戦スタートとなるリーグ再開後の変わり身に期待した。

 試合後、報道陣の質問に答えている途中、激しい衝撃音が聞こえた。帰りのバスに乗り込んでいた星野監督が「早く乗れ!」と窓をぶったたく音だった。鬼の形相におびえるように、助っ人はバスに飛び乗った。肩身のせまい思いをした散々なデビュー戦になったが、指揮官の笑顔が増えるように、次回先発で巻き返すしかない。【柴田猛夫】