<日本ハム1-4ロッテ>◇29日◇札幌ドーム

 佑ちゃんが、負けた。日本ハム斎藤佑樹投手(23)が52日ぶりに先発し、7回7安打4失点でプロ初黒星を喫した。左脇腹痛による2軍調整を経て、5月8日ソフトバンク戦以来の復帰登板。4回までは1安打の好投も、5回に4本の長短打を集中された。プロ5試合目で自身最長の7回を投げ、直球は最速タイの144キロをマークしたが、自身3連勝はならなかった。先発ローテーションの事情で1度、出場選手登録を抹消されるが、チームには同行し、次回登板に備える。

 プロ初黒星にも確かな手応えをつかんだ。プロ入り最長7回を投げ、斎藤は「自分なりの成長だと思う」と話した。バッテリーを組んだのは1歳年上の今成。2軍での最終登板21日巨人戦に続くコンビは、初回から真っすぐをどんどん投げ込んだ。2三振を奪う3者凡退で立ち上がりは上々。「直球がいいところに決まった。いけるかなという感じがあった」。ずっと追い求めてきた球が、少しだけ理想に近づいた。

 4回までわずか1安打投球。が、落とし穴は5回だった。「少し自分の中で迷いがあった。満塁だったので、死球が怖いというのがあった」。5回1死満塁から岡田に走者一掃の適時三塁打を打たれた。選択した球種はカットボールだった。左打者の内角に食い込む球で、内野ゴロをイメージしていた。しかし押し出し死球のリスクが頭をよぎり、厳しいコースを突けなかった。同期生の伊志嶺にも適時打を許し、4安打で一気に4点を失った。

 リハビリ期間中は仲間に支えられた。球団の方針で、故障選手は実戦に出場するまで外出禁止となる。斎藤も4日の2軍戦登板までは、基本的には「勇翔寮」内で過ごすしかなかった。ストレスがたまる一方のリハビリ生活の中で、救いの手を差し伸べたのがドラフト同期で同じ大卒新人の乾や榎下。寮内で「食事しか楽しみがない」と話していたように、もんもんとした日々も、そんな仲間たちの心遣いが癒やしてくれた。

 5月8日ソフトバンク戦以来の本拠地は「ファンの方も含めて、投げやすいと感じました」。7回7安打4失点という内容に梨田監督は「内容的には十分すぎる。以前より球も速くなっている。及第点は与えられる」と評価した。先発ローテーションの事情で今日30日に出場選手登録が抹消されるが、1軍に同行して調整。次回チャンスを与えられるのは確実だ。「今日の調子を維持していきたい」。佑ちゃんは、プロで戦う力を本当に“持ってる”ことを確信した。【木下大輔】