<オリックス4-3ソフトバンク>◇2日◇京セラドーム大阪

 大変長らくお待たせいたしました。オリックスが開幕60試合目で初のサヨナラ勝ちだ。岡田彰布監督(53)がニヤリと物知り顔になった。

 「初めてやろ。12球団でサヨナラ勝ちなしのチームって、みんなで言うてたんよ」。実はロッテもないが、この際お構いなしだ。大坂夏の陣と銘打った戦国時代をイメージした企画で首位ソフトバンクに連勝し、再び貯金1。右翼席から勝ちどきが上がった。

 初戦で「兵州男」ことマイク・ヘスマン内野手(33)が3ラン2発で暴れ、2戦目は日本を代表する名字の鈴木郁洋捕手(36)が決めた。9回1死二塁、鷹軍ファルケンボーグの150キロを左前にはじき返す、プロ初のサヨナラ打。それでも殊勲者は「心底喜べない。ガッツポーズもやめようかと思った。むしゃくしゃした」とぼやいた。

 7回から平野とのバッテリーで出場しながら長谷川に同点2ランを許した。「近藤の勝ちを消したし平野に悪いことをした。僕の持ち場でやってはいけないことをした」。代打を送られなかった最終回に意地の一打で挽回した。それでも抑え捕手としての失態に「ベンチの期待に応えられず悔しい」と下を向いた。

 勝ってかぶとの緒を締めた伏兵鈴木の姿こそ反攻の旗印。「チームが勝つことで救われることはある。もっと大事なときが来る」と将軍岡田はジッと先を見すえていた。【押谷謙爾】