<中日2-4広島>◇16日◇ナゴヤドーム

 落合竜がもがいている。前日に続きわずか4安打と打線が沈黙。引き分けを挟んで5連敗となり、6月29日以来の勝率5割に逆戻りした。

 「また港に戻って来ちゃったよ。また明日から出港しなきゃいかんよな」。

 重い空気に包まれた本拠地のベンチ裏から会見場にやってきた落合博満監督(57)はにやりと笑った。ペナントレースを航海に例え、開幕時と同じ貯金0に戻ったことを「帰港」と表現した。

 一時は最大で貯金5と連覇へ向けて順風満帆に見えたが、故障者などもあって難航。気づけば始まりの港に戻ってしまっていた。

 この日も滑り出しは最高だった。2回に5番和田が広島ソリアーノから左翼スタンドに先制の8号2ランをたたき込んだ。4番森野がヒットで出た後の1発。14日ヤクルト戦から4番を外れた主砲が、今季初めて自身のベストポジションともいえる5番で放った本塁打だった。

 だが、打線のつながりらしきものが見られたのはここだけ。その後は6回平田の中前打、7回小池の右前打のみ。ソリアーノが回を追うごとに制球力を増したこともあってか、ボール球に手を出すシーンが目立った。大島、岩崎達、平田ら若手の起用で一時は活性化した打線だが、完全に“息切れ状態”だ。

 「やはり打線ですよね。投手はある程度、最少失点で抑えていることが多いわけですから。打っていかないと勝てないです…」。

 先制弾の和田は眉間にしわを寄せて振り返った。首位との距離は変わらないが気づけば1・5ゲーム差の後方に3位阪神が…。指揮官の号令とともに再出港するしかない。【鈴木忠平】