中日が今季4度目のサヨナラ負けで前半戦を終えた。同点の延長10回に1死満塁から守護神岩瀬仁紀投手(36)が5番阿部に右越え適時打を浴びてジ・エンド。連敗で借金2となり、04年に発足した落合政権下では初となる「借金ターン」となった。それでも落合博満監督(57)は、開幕が遅れた影響で残り試合が72試合あることに巻き返しの手ごたえをにじませ「別にいいじゃん」と言い放った。

 痛烈な打球が右翼手の頭を越えた。守護神岩瀬が投入されたのは、1-1で迎えた延長10回無死二塁の場面だった。亀井への敬遠と鈴木の送りバントで1死二、三塁。続く4番長野との勝負を避けると、最後は阿部に甘く入ったスライダーを痛打された。背番号13は打球の行方を見届け、顔をゆがめた。

 「勝ちたかったですけど…。ちょっと言いようがないです」。阿部との勝負を選んだことには「悔いはないです」と話した。

 前半戦を象徴するような試合展開だった。あと1アウトで敗戦という9回に和田が適時内野安打を放ち同点。流れは中日に傾くかに思えた。その後は自慢の中継ぎ陣が必死につないだが、最後は逆転を許した。後味の悪い敗戦。だが、ベンチから出てきた落合監督は笑顔を浮かべていた。「考え方が違うんだ。いつもなら(前半戦で)90試合は終わっている」。借金ターンについては「別にいいじゃん」と言い放った。

 今季4度目のサヨナラ負け。借金は「2」だ。借金を背負っての折り返しは04年以降の落合政権下では初めて。中日としては02年以来、9年ぶりだ。それでも指揮官はまったく意に介さなかった。

 今季は東日本大震災の影響で開幕が遅れた。前半戦は72試合を消化しただけ。まだ72試合が残っている。これからやり返す-。指揮官の不敵な笑みはそんな強い意志を表していた。

 後半戦に向けて策は講じている。19日の巨人戦から井端を本職でない三塁でスタメン起用。守備のいい荒木、岩崎達との内野共存を可能にした。波に乗れないチームに刺激を与えた。「調子が良い悪いだけじゃない」と先を見据えた起用を続けてきた。

 首位ヤクルトとの差は今季最大となる「8」に開いた。昨季、8ゲーム差からの大逆転劇を演じたオレ竜だが、これで数字上の危険水域に入ったとも言える。これからが本当の勝負だ。【桝井聡】