<西武9-8日本ハム>◇10日◇西武ドーム

 目の前で並んだ。西武中村剛也内野手(27)が29号満塁本塁打を放った。3点を追う3回無死満塁フルカウント。外角スライダーに合わせるようにバットを出す。それでいて振り切った。だからこそ左中間フェンスを越えた。9試合ぶりの1発となる逆転グランドスラムに「打った瞬間ギリギリ入ると思った。(今季)満塁で1本も打ててなかったんで」。のぞかせたのは、喜びよりも安堵(あんど)だった。

 満塁弾は通算11本目。昨年6月のヤクルト戦で9本目を放って既に球団記録は塗り替えているが、解説の仕事で訪れていた清原和博氏の眼前で同氏の通算記録にも並んだ。「それは別に…。ありがとうございます」と言いつつ、少しだけ笑顔だった。

 初めて4番を打った時、胸に抱いた思いがある。「打線の中心にいる打者として、人と違う打撃をしなくちゃいけない。チームのモチベーションを上げるようなホームランを打ちたい」。チームはこのカード9連敗中。1回に先制しながら、直後にあっさり逆転を許した。今日もダメか…。本拠地に充満するそんな負のオーラを一掃し、理想を体現した。

 6回には無死二、三塁からの遊ゴロで三本間に挟まれた陽に接触したとして、不運な形で走塁妨害の判定を受けた。1イニング2失策で一時逆転を許すきっかけとなったが「(走者に)当たってないからね」と、ちょっとだけ明るく言えたのも勝ったからこそ。主砲の役目を果たし、ハードラックな1日を笑顔で締めくくった。【亀山泰宏】