野球ファンにとって月曜は特別な日。先週を振り返って、今週に思いをはせる。識者に回顧と展望を聞いた。セ・リーグ編は小谷正勝氏(81=日刊スポーツ客員評論家)。「逆球」の考察から大混戦のリーグを占う。

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テレビでプロ野球中継を見ていると、解説者やアナウンサーが度々「今のは逆球ですね」「逆球は危ないです」などと言う。前提として「逆球」という言葉をネガティブに捉えているが、意味を正しく理解してほしい。

そもそも、なぜ逆球は起こるのか。投球フォームを分解して考える必要がある。軸を作ってから体重移動の推進力を使い、ねじる力や落ちる力、引く力などを絡めながら、捕手が構える的に向かってボールに蓄えた力を放出する。

推進力を方向付けする上で、利き腕ではない側(右投手なら左半身)の使い方が最も大切になる。グラブを出すタイミングと出し方、グラブの引き込み、肩の入れ替え。これらに狂いが生じると、連動してリリースポイントが狂い、制球や球威に問題が出てくる。

逆球というくらいだから、狙った場所からは外れている。しかし、ボール自体が生きているのか、それとも力ない「死に球」なのか。見極めが必要になる。投手からすれば、出力が最大化されたフォームで投げた軌道であるケースがある。

例えば右投手が、右打者に対して外角を狙ったケースを考える。逆球はシュート回転して打者に向かってくる軌道であり、力のみなぎった球が懐に来た場合、脅威を与える1球になる。

付け加えれば、外角に来る確率が高い状況…初球やボール先行、長打警戒の得点圏で、意表球として特に効果を発揮する。配球の意図からは外れていても、要は抑えれば優れたボールなのだ。

今のセ・リーグで、巨人の大勢がこのロジックを最も有効に使っている。

彼のボールはほとんどがシュート回転している。捕手が外角を要求すれば「コースの逆球」となる可能性が高い。しかし打者を圧倒する力があり、逆球とはいえ枠内に収める、最低限の制球力もある。特徴を見抜いて余計な手を加えず、長所を生かす導きをしている指導者の目も見逃せない。夏場以降、球威の管理がポイントになるが、マルティネスとの大駒2枚を終盤に配する巨人が抜け出す可能性は十分にある。(日刊スポーツ客員評論家)