<巨人5-2阪神>◇23日◇東京ドーム

 痛すぎる敗戦だ。2位巨人に逆転負け。しかも大砲が長期離脱ピンチに陥る非常事態だ。2回、阪神クレイグ・ブラゼル内野手(31)が中前打した際に右太もも裏を痛め、途中交代。肉離れを発症したもようで、出場選手登録を抹消されることが決定的となった。今日24日以降に検査を受けるが、戦線離脱となれば、虎は窮地に立たされる。

 勝利に沸く敵地東京ドームの通路を、猛虎軍団が重い足どりで歩いた。伝統の一戦で逆転負け。勝率5割復帰で2位浮上どころか、首位ヤクルトと6・5ゲーム差に。しかも、ただの1敗ではない。非常事態ともいえるアクシデントが発生した。

 衝撃のシーンは2回。無死一塁からブラゼルが右中間を破った。しかし一塁を回った時点で、顔を大きくゆがめた。右手で右太もも裏を押さえて、くるりと反転して一塁に戻った。ベンチから飛び出したトレーナー、コーチに囲まれ、右足を引きずってベンチに戻る。試合途中に球場を離れて、東京都内のチーム宿舎に戻り、治療を行った。

 真弓監督

 ちょっと状態を見てみないと分からないですね。

 和田打撃コーチ

 ちょっと明日になってみないとわからない。ちょっと出られそうにないかもしれない。

 症状は、右太もも裏の肉離れとみられ、今日24日に出場選手登録を抹消されることが決定的となった。重度の肉離れは一般的に全治まで4~6週間かかるとされる。状態が悪ければ、レギュラーシーズン中に復帰できるかどうか、微妙な情勢だ。

 ブラゼルは今季91試合に出場、打率2割8分5厘、10本塁打、48打点をマーク。打点は4番新井に次ぐチーム2位だった。左腕先発時にベンチスタートはあったが、まぎれもない5番のポイントゲッターだ。

 ブラゼル不在となれば、4番新井の不振もあって、ベンチが打順変更に着手する可能性も出てくる。和田打撃コーチは「ブラゼルの状態を見て」と前置きした上で「まだわからんけど(打順変更の)きっかけになるかもしれないが…」と含みをもたせた。一方の守備は一塁関本、二塁上本で戦った。久慈守備走塁コーチは、ブラゼル不在の場合について「現状でいったら、ああなる」と説明した。

 ブラゼルは、09年9月5日広島戦で左太ももの前面の筋肉を負傷。同7日に「左大腿(だいたい)四頭筋筋挫傷」と診断されて、出場選手登録を抹消されている。ただ当時は負傷から2週間後の同19日広島戦で代打として1軍に復帰している。シーズン終盤を迎えてあまりにも痛いブラゼルのアクシデント。今は軽傷であることを祈るしかない。【益田一弘】