<日本ハム2-5楽天>◇24日◇札幌ドーム
楽天投手陣が北の大地で絶好調だ。敵地での日本ハム戦は、2回までに5得点と主導権奪取。4回から佐竹-小山-片山-青山-ラズナーと無安打でつなぎ、合計9奪三振の派手なリレーを決めた。2回無失点の小山伸一郎投手(33)は、チーム2位タイの5勝目。「2ケタ勝利が目標」とでっかく目標設定した。4連勝で3位ロッテと0・5差。今日にもCS圏内に突入する。
ヘビー級対決を制したのは小山だった。2イニング目突入の6回2死。陽岱鋼、糸井と連続三振した後、残るは日本ハム4番、中田だった。140キロ超の高速すぎるシンカー。フルカウントから外角に落とした。テークバックが極端に小さく、でっかい腹をフルに生かして強引に上体をかぶせる。勢いに気おされるように中田はショートバウンドを振った。大事な中盤を6人で終え5勝目ゲット。岩隈らと並び、チーム内で勝ち星が2位タイとなった。「2ケタ勝ちが目標。通過点ですよ」と大きく出ても、この夜ばかりはOKの働きだった。
楽天投手陣のど真ん中にいる。創設メンバーで中継ぎの専門職。日本人離れした肉体とおおらかな心を兼ね備え、先輩後輩問わず人が集う。そんな陽の男にも苦労はもちろんあった。5月、失意のどん底に小山はいた。
古巣中日相手に先発の大役が回ってきた。11年ぶり先発という、ブランクの日本記録。「僕の野球人生をかけて投げます」と不退転のマウンドだった。結果は残酷だった。緊張から制球が定まらず2回5失点KO。試合も1-9の大敗だった。千載一遇のチャンスから敗戦処理へ滑落。「どこを目指せばいいか、分からなくなっている」と弱気の虫が出てしまった。
夏場になり調子を上げ、結局定位置の中継ぎに戻ったのは小山自身の実力だ。だが後押ししたのは、中日時代の96年ドラフトで1位指名し、獲得した星野監督だった。監督は当時から闘争心を高く買っていた。中日2軍時代、小山は首脳陣の厳しい叱責(しっせき)に激高。遠征先から荷をまとめ帰ろうとした。「もうオレはダメだ、野球を諦めなくては」と自身も悔いる暴れっぷりだったが、その翌日、星野監督は「元気があってええやないか」といきなり1軍に上げた。楽天で久々再会し「アイツ、長いこと頑張ってるなぁ。このまま強欲にいって、10勝すればいい」。小山は「その言葉を今、生きがいにしている」と堂々と言う。
ヒーローインタビューの10勝宣言は大げさでも何でもなく本音だった。4連勝の期間中、中継ぎの防御率は13回を1失点で0・69。そのど真ん中に小山がいる。【宮下敬至】



