<ロッテ5-3日本ハム>◇30日◇QVCマリン

 敵地ファンの歓声ばかりがこだました千葉の空に架かったアーチは、敗戦の中で一筋の明るい光だった。9回2死一塁、日本ハム中田翔内野手(22)がロッテ成瀬の138キロ直球を、バックスクリーン左まで運んだ。8日楽天戦以来19試合ぶりとなる1発。「強く振ることを意識していました。明日につなげて、勝ちにこだわってやっていきたい」。柵越えの感触が残る手にはバットを抱え、前だけを向いた。

 2回の第1打席には、一、二塁間に転がした打球で内野安打。27打席ぶりに「H」ランプを点灯させ、プロ入り最長だったトンネルから抜け出した。「ああいう当たりでしたけど、ヒットはヒット。よかったです」。4番として責任も感じていただけに、肩の荷は軽くなった。この日はいつも電話やメールで励ましてくれる、母香織さんの誕生日。祝福の連絡は入れていたが、ホームランの報は何よりのプレゼントになった。

 チームもトンネルから脱した。8回に内野ゴロの間に奪った得点が、27日西武戦の1回以来の得点。連続イニング無得点を24でストップした。だが、白星は伴わなかった。今季2戦2敗だった左腕成瀬に対し、稲葉を外して右打者を8人並べた(スケールズは両打ち)梨田監督は、「なんとか攻略しようと思ってやったんだけど…。3点は取ったけど、展開的に遅すぎた」と眉間にしわを寄せた。