<西武4-2楽天>◇17日◇西武ドーム

 楽天に故障アクシデントが連発した。ダレル・ラズナー投手(30)が右尻からふくらはぎにかけて痛みを訴え、遠征中のチームを離れて仙台に戻り、病院で検査を受けた。診察結果次第では、守護神離脱の可能性も出てきた。前日16日に左胸を強打した岩村明憲内野手(32)はこの日、登録を抹消された。意気消沈したように3連敗したチームは、CSの自力進出が消えた。

 恐れていた故障トラブルが起きてしまった。CS争いの舞台に、ラズナーの姿はなかった。前日16日の練習中、右足の尻からふくらはぎにかけて張りを訴えた。1日たっても症状が回復しない。首脳陣と相談し、仙台のチームドクターに検査してもらうことが決まった。この日の朝、遠征中の都内ホテルからグラウンドには向かわず、仙台に帰った。

 短いイニングで思わぬ適性を見せた助っ人右腕は、一時は2ケタあった借金を完済する原動力だった。シーズン途中から抑えに転向し、13セーブをマーク。長年の課題だった抑え役が固定されたチームは快進撃に転じた。これまでは先発一筋。「野球人生で初めて」という抑えのポジションを意気に感じていたが、毎日投げることに慣れていない体が悲鳴を上げた形だ。

 岩村も前日16日の西武戦で左胸を痛めた。本塁クロスプレーで滑り込み、捕手銀仁朗のひざ付近に上半身から体をぶつけ、ベースタッチした。最終回に一気に5点差を追いつく本塁生還だったが、その後はタンカで運ばれ、救急車で病院に直行。この日、出場選手登録を抹消された。ビッグプレーの代償は大きかった。

 主力にけが人が少ないことが、楽天の強みでもあった。選手起用にも、工夫が見える。星野監督はベテラン松井稼、高須を途中交代するケースがよくあるが、積極的に休ませてコンディションを落とさないための選手起用だ。故障を未然に防ぐためサポートするコーチスタッフ、トレーナー、裏方の存在も欠かせない。

 だがシーズン終盤を迎え、誰もがギリギリの状態で踏ん張っている。蓄積疲労にはあらがえず、不動の4番山崎は先発を外れた。試合中の守備では、内村がグラブを地面と引っかけて古傷の手首をひねり、ヒヤリとさせた。ブルペンではラズナーの代役で青山が控えたが、故障トラブルの連鎖が尾を引いたように3連敗。故障者が戻りつつある西武と勢いの差は歴然だった。

 借金は5に膨らみ、自力でCS進出の可能性が消滅した。田淵ヘッドコーチは「今いる人でやるしかない。これからが本当の勝負」と言葉に力をこめた。プレーできない故障者の思いも背負って、踏ん張るしかない。【柴田猛夫】