<楽天1-2ソフトバンク>◇25日◇Kスタ宮城

 またも報われなかった。楽天長谷部康平投手(26)がソフトバンク打線を8回4安打1失点(自責0)に抑えたが、今季初勝利はならなかった。3試合連続で6回以上を1失点に抑えているが、その間の味方の得点が2点、1点、1点と援護に恵まれない。チームは3カード連続で負け越し、逆転のクライマックス・シリーズ(CS)進出は土俵際だ。このまま、長谷部の好投を無駄にはできない。

 最後の反撃を、長谷部はベンチで見守った。救援陣が9回表に1点を勝ち越された。その裏、1死二塁の同点機をつくるも、最後は嶋がソフトバンク馬原に遊ゴロ。長谷部の投球内容は勝利投手となってもおかしくないほどだったが、残った結果はチームの黒星だった。初勝利がなかなか訪れないが「粘って投げられました。これを続けていきたいです」と気丈に答えた。

 真っすぐは130キロ台後半が大半で驚く速さはなくても、スライダー、チェンジアップと変化球を打者の膝より下に集めた。ストライク先行で丁寧に投げ続け、連打させなかった。0-1の5回2死二塁、責任投球回数を前に追加点を与えかねないピンチでも踏ん張った。福田を1ボール2ストライクと追い込み、スライダーで空振り三振。「シャッ!」とばかり左手を小さく突き出した。控えめな左腕が、マウンドで唯一見せた感情だった。

 佐藤投手コーチにも「上出来」と言わせた。今季初登板は8月28日で、夏も過ぎようかという時。猛暑は人工芝の照り返しが厳しい泉の2軍練習場で過ごした。あまりの暑さに「何も考えられないです…」と漏らしたこともあったが、それは違う。真っ黒に日焼けしながら「一定のバランス、リズム、呼吸で投げるには」を追究した。結果、以前より背中をひねる投球フォームに行き着いた。トルネード投法は「球威を求めたわけではない」という。かつて150キロを誇ったが、今は制球とキレで勝負。新フォームには、変化を恐れない志が詰まっている。

 勝利投手にはなれなかったが「バランス、リズム、呼吸、全てがうまくいった」と納得できた。自身の勝利にも、チームの勝利にもつながらなかったが、塩見に続く先発左腕の登場は大きい。次こそ勝って、逆襲の旗を振る。【古川真弥】