<ロッテ4-5西武>◇26日◇QVCマリン
4番の一打で西武が9年ぶりとなる9連勝を飾った。同点の7回1死二塁から中村剛也内野手(28)が中前へ決勝適時打。4点リードを追いつかれる苦しい展開の中、1点が欲しい場面できっちりと仕事を果たした。チームは最大15あった借金を1まで減らした。試合のなかった3位オリックスとの差も3ゲームに縮まり、逆転クライマックスシリーズ(CS)進出がいよいよ現実味を帯びてきた。
息をのむ放物線ではなかったが、文句なしに値千金だった。中村はやるべきことを分かっていた。1死二塁、外角低めのスライダー。自身の1発の“ツボ”である外角高めより低く制球されたボールに飛ばし屋の欲求を抑え、鋭くはじき返した。「チャンスで2回凡退していたので、何とか1点、(走者を)かえそうという気持ち。いいところで打てて良かった」と、打撃同様素直に喜んだ。
本塁打が中村の一打者としてのこだわりなら、チームに勝ちをつける打撃は4番としての矜持(きょうじ)だ。5月14日、ソフトバンク戦の屈辱は忘れていない。杉内の前に得点圏に走者を置いた3打席を含む4連続三振。完封負けの翌日、聞かれるまでもなくつぶやいた。「4番が打たなきゃ負けるってことだよ」。それが現在は好調なチームの中で打ちまくる。8月まで1発を放った試合が13勝15敗だったのに対し、9月は9勝1敗。「みんなが打つから」と謙遜するものの、自らのバットが勝利に直結する喜びを感じている。
ここにきて刺激になる話も聞いた。先日、テレビ番組の企画で楽天野村名誉監督と対談。具体的な目標や数字をほとんど設定しないことについて「目標やライバルをつくることが大事。達成できなくても、そのプロセスに意味がある」と指摘された。52本塁打という日本人右打者のシーズン記録保持者でもある名将の諭すような口調に、中村も神妙に聞き入ったという。
5回無死満塁のピンチで今季初めてマウンドに足を運んだ渡辺監督は「みんながやるべきことをしっかりやっている」とうなずいた。これで最大15あった借金完済に王手。オリックス猛追の手綱が緩む気配はない。【亀山泰宏】



