<中日3-1ヤクルト>◇11日◇ナゴヤドーム

 マジック点灯はもう、目前だ!

 中日が投手陣の踏ん張りで優勝マジック点灯に王手をかけた。先発川井雄太投手(31)が8回途中3安打無失点と好投。小林正-平井-浅尾-岩瀬と得意の継投でヤクルトを振り切った。CS進出も決定し、今日勝てばM4が点灯する。落合竜はゴールテープに向けてノンストップで突っ走る。

 「職人集団」と呼ばれる落合竜。この日の主役は川井だった。序盤から丁寧にボールを投げ込み、落差のある持ち味のスローカーブを効果的に活用。ボールを低めに集中させた。8回途中3安打無失点。崖っぷちに追い込まれたヤクルトを手玉に取って、チームの3連勝を決めた。

 川井

 腕を振ったのでヒットを打たれても要所、要所で抑えることができたと思う。野手が点を取ってくれたので気を引き締めていった。

 決して“全国区”とは言えない。09年に開幕から11連勝を挙げて注目を集めたが、昨季はわずか1勝。ケガにも泣かされてシーズン終盤は出番がなかった。今季は昨季は帽子のツバに「冷静」と書き込んだんでマウンドに上がる。今季はイニングごとにグラウンドにペコリと一礼をしてマウンドに向かうことが決まり事。地味ではあるが大一番でしっかりと働く投手が中日にはたくさんいる。

 8回にナゴヤドームがざわめいた。落合監督が飯塚球審に歩み寄り投手交代を告げた。ここまで7回1/3を3安打無失点とほぼ完璧に抑えていた川井から小林正にスイッチ。打席には青木が向かおうとしていた。今季青木を4打数無安打に抑えている左のワンポイントの登場だ。結局、青木の打球は大きくバウンドして投手内野安打となって、すぐさま3番手平井に交代したが、得意の継投リレーで乗り切った。

 経験豊富なスタッフが支えている。落合監督が全幅の信頼を寄せる森ヘッドコーチが投手交代のタイミングをはかる。ブルペンでは近藤投手コーチが目を光らせる。選手に無理を強いることはない。開幕から一貫した投手起用の方針がチームを支えている。

 「はぁ~。よく戦ってると思う。このままでいい」。インタビュールームに姿を見せた落合監督はホッとした表情でそう話した。このままでいい。任せられた仕事を最後までやり抜けばいい-。天王山でも普段の落合竜が変わることはなかった。だからこそ中日は強い。今日勝てば待望のマジック4が点灯する。守り勝つ野球を貫いて、優勝へと突き進む。【桝井聡】