<日本シリーズ:中日1-2ソフトバンク>◇第4戦◇16日◇ナゴヤドーム

 球場のタメ息が耳に痛い。中日谷繁元信捕手(40)に快音が出ない。1点差を追う6回無死満塁。代打小池、平田が凡退。つづいて打席に立った谷繁は2ストライクまで追い込まれると、左腕森福の外角シュートに詰まらされて遊ゴロ…。最高のチャンスが一気にしぼんでしまった。天を仰ぎ、顔をしかめた。

 皮肉にも9回最後の打者になった谷繁のポストシーズン連続無安打は34打席にまで伸びた。

 「現実、僕が打っていないんで、1本でも出ていたら違う展開になっているかもしれない」

 12球団屈指の投手陣を引っ張り4戦連続でロースコアゲームに持ち込んだ。短期決戦はリードに全神経を集中させる。この日は8番に入ったが、ブレーキになってしまった。「関係ない。力がないだけ」。日頃から言い訳すること絶対にしない男の胸の内は苦しみが充満しているはずだ。

 「負けても次の日、勝っても次の日。反省しながら生かさないと」

 今春のキャンプで1年の目標を問われてこう答えた。「この年になるといつまで野球ができるかは分からない。とにかく優勝したい」。誰よりも貪欲に勝利を追い求める谷繁が、このままで終わるはずがない。【桝井聡】