阪神岩田稔投手(28)が11日、大阪市内でトークショーを行い、自身と同じ1型糖尿病患者約20人を含む約200人の前で、初めて40歳現役を目標に掲げた。

 岩田

 40歳ぐらいまで現役を続けたい。こういう活動をもっと増やして(患者を)支えていきたい。

 きっかけは10年春の左肘手術だ。リハビリで1年を棒に振り「手術したからには、あと10年は投げる」と心に決めた。前西武の工藤は48歳で引退表明。阪神でも金本、下柳が40歳代でバリバリ働く姿に憧れた。

 岩田

 そういう選手を見てきた。すごいこと。自分もケガせず長くやりたい。

 40歳代での登板となれば、虎生え抜き投手では49年若林忠志の41歳以来、史上2人目。左腕では初となるが、絶対に達成したい理由がある。昨季から「1型糖尿病研究基金」へ、1勝ごとに10万円の寄付を行う。「こういう活動は現役である限り、やり続けたい」。選手寿命を延ばし、支援の輪を広げるつもりだ。

 大阪桐蔭高2年の冬に1型糖尿病を発症。社会人チームから入団内定を取り消され「見返したかった」。関大1年秋に左肘手術。ウエートトレに目覚め、体重増&球速アップに成功した。昨春は2度目の肘手術。「靱帯(じんたい)が切れたのに今年1年間投げられた。人間の体はすごい」。次々と逆境に立たされ、乗り越えてきた。40歳現役は決して夢物語ではない。

 岩田

 来年(の寄付金)は3ケタはいかないと。柱になってチームを引っ張りたい。能見さんに負けない投手になって、リーグ優勝して日本一になりたい。

 今季は9勝で90万円の寄付に終わった。来季は2ケタ勝利が最低ノルマ。壮大な夢に向け、長い道のりを突っ走る。【佐井陽介】