西武居郷肇社長(55)が6日、ヤンキースとの交渉が合意に達しなかった中島裕之内野手(29)について、重要な戦力として迎える意向を示した。「中島選手の夢であるメジャーリーグへの挑戦が、この段階でかなわなくなったことは残念です」と前置きした上で「気持ちを切り替えて、2012シーズンは、埼玉西武ライオンズの主力選手として、日本一に貢献していただきたいと思います」と期待を込めた。

 飯田専務によれば、6日未明に中島から契約不成立の一報が入った。本人のメジャーリーグへの強い思いにポスティングシステムでの移籍を容認。球団側も夢を応援する形を取ったが、同専務は「我々からすれば、極めて大きな戦力になると思っている。(本人にも)重要な戦力ですよと伝えてある」と残留を要請したことを明言した。すでに球団広報を通じ、今後のスケジュールを調整中。過去には02年の大塚(元レンジャーズ)、今オフの横浜真田ら自由契約になった例もあるが、帰国日程が決まり次第、早急に交渉の場を設ける姿勢を示した。今回の入札金250万ドル(約1億8800万円)は西武に支払われない。

 チームメートの思いも同じだった。この日、西武第2球場で自主トレを行った中村剛也内野手(28)は「残念です」と中島の心情を思いやりながらも「一緒にやれるかもしれないので、心強いです」と日本一奪回に向け、ともに戦えることを歓迎。牧田和久投手(27)も「中島さんにはアドバイスをいただくこともあったし、心強いです」と同調した。4年ぶりのV奪回へ向け、チーム一体で中島を迎える。【久保賢吾】