キヨシ、今日は複雑…。DeNAが沖縄・宜野湾キャンプ第2クール5日目の11日、初実戦となる紅白戦を行った。中畑清監督(58)は試合中、グラウンドを動き回り、戦力チェックに目を光らせたが、笑顔はほとんどなし。期待の3年目右腕、国吉佑樹投手(20)が2回4失点するなど、課題の投手陣が打ち込まれ、厳しい現実を突きつけられた。逆に攻撃面では、本盗やエンドランと機動力を積極的に展開。両チーム合わせて10得点を挙げた打線には及第点を与えた。

 “半分”の出来に、どうしても納得がいかなかった。声援を送ってくれた約3000人のファンに、手を振って応えた中畑監督だが、その笑顔はいつもと違い、どこかぎごちない。「もうちょっと時間をかけないで終わらないと。これは打たれすぎ!

 半分怒ってる。ツンツン!」。最後はキヨシ節で締めたものの、投手陣に向けられた言葉の語気は珍しく強かった。

 計20安打も浴びれば無理もない。6回打ち切りで、テンポよく進んでいいはずの紅白戦が1時間59分を要した。投手の仕上がりの方が早いとされるこの時期の実戦で、計8投手がマウンドに上がった。期待とは裏腹に「ほとんどの投手の球の走りが悪い」と嘆いた。就任以来、成長株として名前を挙げてきた国吉も精彩を欠き、武器である直球は1度も140キロを超えなかった。「あれくらいなら、僕も打てる」と手厳しかった。

 疲れがピークでのマウンドであることは、もちろん理解している。だからこそ、納得はしていないが、失望したわけでは決してなかった。「投手には厄日だったけど、課題はしっかり見えた。今日1日を糧にしてほしい」と、力を込めた。

 この日は、ホーム後方から一、三塁側ベンチ、左翼フェンス前、そしてファウルエリアのカメラマン席と動き回って選手の動きをチェックした。試合後には、ナインをマウンドに集めてハッパを掛けた。「今はとにかくトライする気持ちをどんどんアピールしてほしい。この形で進んでいけば、本物になっていけると思う」。シーズンはまだまだ始まったばかり。現実を知ったここからが、「熱い監督」の手腕の見せどころだ。【佐竹実】