<阪神2-6DeNA>◇1日◇京セラドーム大阪

 「ハマの番長」DeNA三浦大輔投手(38)が、文句なしの好投で新球団初勝利をつかみ取った。1点リードの6回。2死二、三塁から、前日逆転打を打った4番新井貴と対決。一打逆転の場面にも、果敢に3球続けて内角を攻め、最後はカウント2ボール2ストライクから外角低めいっぱいの直球で見逃し三振を奪った。この日最速の140キロで勝負を制した勇気が、次の回の大量点を呼び込んだ。中畑監督から「私にとっては神様のような存在。チームが一番苦しい時に最高の投球を見せてくれた。パワーを感じたよ」と絶賛された投球だった。

 親会社がTBSに変わった02年もチーム初勝利を挙げた。球団が苦境に立たされた時、いつも三浦が支えてきた。「最近はいろいろあって、しんどいシーズンばかりだったが、チーム名が変わり、ユニホームも変わり、すべてが変わった。みんな生まれ変わるんだ、という気持ちで戦っている」と話した。

 「虎キラー」としての存在感も示した。阪神戦は過去97戦43勝20敗で勝利数は歴代6位。「たまたまでしょう」と照れたが、抜群の制球力で強打者の芯を外す匠(たくみ)の技が光った。春季キャンプではチームトップの通算2500球を投げ込んだ。友利投手コーチは「ミリ単位の制球を求めている」と、落ちた球速をカバーする技術と努力を評価した。

 お手本のような投球で、本拠地開幕投手を務める国吉にバトンを渡した。「若手の存在が刺激になってきたが、逆にこっちが刺激を与えられたかな」とニヤリ。トレードマークのリーゼントで決めて堂々と帰りの車に乗り込んだ。【鳥谷越直子】