<西武3-2日本ハム>◇17日◇西武ドーム

 栗山ハム大勝の後、また負けた。前日13得点の日本ハムは西武に敗れ、連勝は3でストップした。2ケタ得点大勝の翌日負けは今季2度目。敗れたとはいえ、4番中田翔内野手(22)が今季初の猛打賞をマーク。2試合連続マルチ安打で気を吐き、9回には代打二岡智宏内野手(35)の適時打で1点差に迫るホームを踏んだ。これで8連戦の強行日程を4勝4敗の五分で乗り切った。

 笑顔なき大当たりだ。中田が先制打を放つなど、3安打で今季初の猛打賞。それでもバスへと続くベンチ裏の長い階段を、けわしい表情で1段1段踏みしめた。「この時期、自分が何本打ったとか、興味ない。勝つためにやっているので。素直に喜べない」。4番として、何よりも最優先はチームの勝利。連勝が3でストップしたことが、悔しかった。

 昨季6打数1安打、3三振と苦手にした西武牧田が相手。「変則?

 全然変則じゃない。めちゃくちゃ速いからね。打席に立ったらわかるよ」と難敵であることは認めたが、はかったように中前へ打球を集めた。「(センター返しは)意識していない。しっかりと自分のスイングができているから、いいところに落ちてくれる」。2試合連続の先制打以上に、存在感が光ったのは2点を追う9回。先頭で中前打を放ち、1点差に迫るホームを踏んだ。「先頭が(出れば)という気持ち。何とかなると思った」。敗色ムードだったチームを、自らのバットで鼓舞した。

 好調のバロメーターである、「無の境地」に達しつつある。「(開幕直後)打席で意識し過ぎて失敗している。今は来た球に素直に食らいついていくだけ。無心で振れている」。バットの出し方、肘のたたみ方、タイミングの取り方、練習では各項目をチェックしながらフリー打撃を行うが、試合に入ればその一切を頭から排除する。同点の9回に本塁打を放って「サヨナラだと思わなかった」と言った15日の楽天戦以降、無心で目の前の投球だけに集中できている。

 2ケタ得点での大勝後、その翌日に敗戦するのは今季2度目。嫌なジンクスは生まれつつあるが、栗山監督も「(中田は)大丈夫そう。内容もいい。最終回はらしさを見せてくれたし、敗れるにしても、みんなの思いは大事にしていきたいよね」と、暗さはない。主砲の復調は、敗戦のダメージを吹き飛ばしていた。【本間翼】

 ▼日本ハム中田が、17試合目で今季初の猛打賞。中田の3安打以上はプロ通算5度目で、5打数3安打5打点だった昨年9月1日のロッテ戦(QVCマリン)以来。昨季は6月18日広島戦(マツダスタジアム)で2本塁打を含む5打数4安打5打点を記録したのがシーズン初で、開幕から49試合目。プロ初の猛打賞は10年8月3日ソフトバンク戦(旭川)で5打数3安打、打点はなかった。