阪神和田豊監督(49)が今秋ドラフト会議「くじ引き」の最有力候補に挙がった。1位筆頭候補に大阪桐蔭・藤浪晋太郎投手(3年)、花巻東・大谷翔平投手(3年)を挙げているが、他球団との競合は必至の情勢。加えて球団にはドラフト1位抽選で12連敗という負のデータがある。それを打破してチーム再建への第1歩を記すのはやはり、指揮官しかいない?

 

 今秋ドラフトの目玉として注目を浴びているのが、甲子園で春夏連覇を達成した大阪桐蔭・藤浪、そして、最速160キロの花巻東・大谷の高校生右腕コンビだ。甲子園での実績が抜群の藤浪を筆頭に、大谷もスカウトが密着マークしている。南球団社長が「競合は覚悟せなあかんやろ」と話しているように、抽選覚悟で近い将来に大黒柱となれる「スーパーマン」の争奪戦に加わるつもりだ。

 ただ、問題は競合した場合、だれがくじを引くか。ドラフトの最大の見どころでもある抽選で、虎には負の歴史がある。ドラフト1位抽選では、85年PL学園・清原から10年早大・大石まで、なんと12連敗中なのだ。つまり、今年のドラフトで抽選に立つ人物は10年、20年に1人の逸材と言われる藤浪、大谷を獲得できるかどうかだけではなく、抽選連敗という不名誉な記録に終止符を打つという重責を背負うことになる。

 注目の人選について、球団首脳は「監督になるんじゃないか」と話した。昨年11月に就任した和田監督にとって今秋は初めて指揮官として参加するドラフト。現場の責任者としてドラフト戦略は成績に直結するだけに、和田監督に任せたいという思惑があるようだ。9月中にも誕生すると見られる中村GMも参加する見込みだが、あくまで最大の見せどころでは監督が登場する可能性が高い。

 和田新監督で優勝を狙った今季は、借金18の5位というまさかの大失速。CS進出の可能性はかすかに残されているが、それも風前のともしびという惨状だ。球団はGM制導入など、すでに来季向けて動きだしているが、その第1歩がドラフト会議になる。再建の象徴となるような逸材を獲得できるか、どうか。来季2年目となる指揮官が、自らの手に命運をかけるというシナリオが浮かび上がった。