日本野球機構(NPB)が、来春のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表監督の就任を要請する方針を固めているソフトバンク秋山幸二監督(50)が25日、あらためて現役監督の指揮は困難という見解を示した。交渉が難航する可能性は高く、目指している今月中の決着は厳しい状況になってきた。

 コミッショナー顧問で、WBC日本代表チームの監督選考において相談役的立場のソフトバンク王貞治球団会長(72)が、秋山監督の発言に理解を示しつつ、今後の説得に含みを持たせた。この日、都内で取材に応じ、秋山監督が、兼任することの難しさを強調したことについて「当然でしょう。現場の人間はみんな難しいと言うと思う。1回目、2回目と優勝してプレッシャーがかかる。誰も自分から手を挙げる人はいないでしょう。気持ちは分かる」と思いやった一方で、「僕もいろいろあったけど引き受けた。(WBC)1回目も2回目もそう(現役)だったからね」と続けた。

 秋山監督とは福岡で試合がある29日に会う予定だ。自ら説得に乗り出すかについては「(候補者と)コミッショナーがやること。僕に権限はない」とかわしたが、加藤コミッショナーの命を受ければ、師弟関係にある秋山監督を口説き落とすキーマンであることは間違いない。第1回大会で指揮をとった自らの経験などを踏まえながら、粘り強く説得にあたるとみられる。

 秋山監督が「野球を分かってない人が(人事を)やってる」と発言したことには、補足するように説明。「コミッショナーは野球を知っている人のいろんな情報を集めて、人選にあたっている。もちろん僕も聞かれたら、分かることはその都度、答えている」と理解を求めた。今月中を目指している決定時期については「11月の試合(親善試合キューバ戦)もある。なるべく早くと思っている」と意欲を見せた。

 シーズンの佳境に収束していかない代表監督問題。「選挙と一緒で、名前が出る人が多いほど難しくなる。今はペナントレース(の記事)を取り上げてほしい。決まるまでに、コミッショナーがやりやすい環境をつくってほしい」。1日も早い決着を望んでいる。