阪神城島健司捕手(36)が現役引退の意思を固めたことが27日、明らかになった。今年5月下旬に腰椎椎間板ヘルニアの手術を受けて復活を目指したが、本職の捕手としてプレーすることはかなわず。10年の阪神移籍後は、左膝手術、右肘痛との苦闘を続けたが力尽きた。ダイエーで日本一に貢献、ソフトバンク、大リーグのマリナーズ、アテネ五輪、WBCで活躍するなど、日本を代表する名捕手だった。早ければ今日28日にも引退を表明する。

 度重なる故障に泣かされた城島が重大な決断を下した。今季限りで現役を引退することを決め、今日28日にも発表される。球史に残る名捕手が、36歳の若さでユニホームを脱ぐことになった。

 94年ドラフト1位でダイエー(現ソフトバンク)に入団。超大型捕手として期待され、1年目から1軍で起用された。王監督(当時)の英才教育方針が実り、プロ3年目にはレギュラー捕手として定着。99年にはパ・リーグ制覇と日本一に貢献し、球界を代表する捕手に成長した。03年には打率3割3分、34本塁打、119打点でリーグMVPも獲得した。

 05年オフにFA権を行使して、大リーグ・マリナーズに移籍。捕手として史上初の日本人メジャーリーガーとなり、イチローとともにチームの主力として活躍した。09年オフにマリナーズとの契約を破棄し、阪神に電撃で入団。世間を驚かせた。翌10年には強力打線の中軸として活躍。打率3割3厘、28本塁打、91打点の成績を収めた。捕手としてセ・パ両リーグでゴールデングラブ賞を史上初めて受賞。明るく豪快な性格で阪神ファンの心もつかんだ。

 しかし、そのオフから事態は暗転する。左膝半月板の手術を受け、懸命のリハビリで11年の開幕スタメンに名を連ねた。レギュラーの責務を果たそうとしたが、無理がたたって、6月に右肘を痛めて登録を抹消。8月には左膝の再手術に踏み切った。しかし手術を回避した右肘の状態は一向に良くならなかった。

 今季は捕手としての復帰を断念し、一塁手に専念。開幕1軍メンバーに入ったが、またもや故障に見舞われた。5月に座骨神経痛で登録を抹消すると、椎間板ヘルニアの手術を行った。回復後も左膝裏の肉離れに苦しむなど、満身創痍(そうい)の中で力尽きた。今月25日、26日のウエスタン・ソフトバンク戦(雁の巣)では2試合ともに先発出場。5打数4安打2打点で元気な姿を見せた。しかしプロ野球人生の原点と言える「博多」でプレーし、4年契約の最終年である来季を待たずに決断を下した模様だ。

 豪快なフルスイングと、「バズーカ」と呼ばれた強肩。ダイエーから始まった18年間のプロ生活で、強烈な存在感を示した「ジョー」がミットを置く。今日にも自らの言葉で、胸の内を明らかにする。

 ◆城島健司(じょうじま・けんじ)1976年(昭51)6月8日、長崎県生まれ。別府大付(現明豊)から94年ドラフト1位でダイエー入団。05年11月にFAでマリナーズ移籍。04年アテネ五輪、09年の第2回WBC日本代表。09年オフにマ軍との残り契約を破棄し、阪神移籍。10年11月に左膝手術。11年8月に再手術。今季は内野手として開幕を迎えたが、5月11日に出場選手登録抹消。椎間板ヘルニアの手術を受ける。03年パ・リーグMVP。ベストナイン6度、ゴールデングラブ賞8度受賞。オールスター8度出場。182センチ、90キロ。右投げ右打ち。