<ヤクルト0-4中日>◇29日◇神宮

 ヤクルトの2年連続CS進出は静かに決まった。4点リードされた8回、広島敗戦の一報が入った。完封負けしたが、小川淳司監督(55)は「正直ホッとしています」。それが素直な気持ちだった。

 山あり谷ありのシーズン。宮本、バレンティン、由規、林昌勇…。主力のけが人は延べ20人以上だった。3位広島に最大3・5ゲーム差つけられた。借金は最大8。そこから9月16勝8敗でまくった。

 「ピッチャーが何とか粘れるようになったのが9月。ケガ人が出た中で、控え選手の成績が大きかった」と言った。雄平、森岡、福地ら代役の活躍が、終盤の躍進を支えた。5月に雄平を2軍降格させた時は「戦力として考えているから」と声を掛けた。長いシーズンを見据え、控え組を腐らせない気配りがあった。

 満身創痍(そうい)の戦い。交流戦中は10連敗で、1位から4位に転落した。もう1敗したら、辞任する覚悟だった。連敗を止めた翌日、6月1日、早朝の羽田空港。「辞めることで、何かを変えようと思った。オレが責任を取らなくてはいけない」と言った。ギリギリで踏みとどまったが、覚悟は決めていた。

 2年前の5月、ヘッドコーチから監督代行に昇格した。休養した高田前監督とともに、責任を取る立場だったのにチームに残った。それが常に頭に残る。「今度はオレが責任を取る立場」。だからこそ、やるべきことを怠る選手には厳しかった。バレンティンも怠慢プレーをすれば説教する。控え組は1軍昇格させれば、すぐに試合で使った。「結果の責任は使った自分にある」と言い続けた。

 1位巨人には19・5ゲーム差。力の差は認めるが、けが人は続々復帰し、短期決戦ならチャンスは広がる。目指してきた頂ではなかったが、137試合目で、日本一への挑戦権をつかんだ。【前田祐輔】