<日本ハム1-10ソフトバンク>◇3日◇札幌ドーム

 日本ハム栗山英樹監督(51)が、感慨もほどほどに、安息せず動きだす。前日2日に3年ぶりのリーグ制覇を果たした日本ハムの優勝セレモニーが、ソフトバンク戦後に札幌ドームで行われた。優勝ペナントを受け取った栗山監督は選手、3万6314人のファンと喜びを分かち合った。一方で、V余韻さめやらぬ試合で大敗し、手綱を緩めることなく、今後に目を向けた。

 札幌ドームには、2夜連続で色とりどりの紙テープが舞った。3万6314人の祝福の中、チームの先頭を歩く栗山監督の右手には、しっかりと優勝ペナントが握られていた。「ペナントもそうだけど、あのトロフィーだよね。あぁ子供のころ、これに憧れたなと思った」。パ・リーグでは24年ぶりに試合がない日に決まったV。あらためて行われた優勝セレモニーで、本拠地は再び感動ムードに包まれた。

 セレモニーがこの日最大の見どころになってしまったのは、誤算だった。先発の武田勝を作戦上の都合で1回終了で交代させると、2番手乾がソフトバンク今宮に右中間を破る適時二塁打を浴びるなど2失点。続く谷元、矢貫と次々に失点し、最後は9回に森内が、柳田にグランドスラムを被弾した。9月12日ロッテ戦以来となる、今季8度目の2ケタ失点を喫した。

 一方の打線も、稲葉、金子誠、小谷野らを休ませたとはいえ、首位打者を狙う糸井、4番でフル出場を続ける中田はスタメンに名を連ねた。だが結果は、4安打2併殺打でわずか1得点。栗山監督は「今日みたいな試合はしちゃダメ。(場内を)回りながら、申し訳なかったなと思った」と、悔しがった。

 勝利の美酒に酔った前夜の祝勝会、栗山監督は選手たちにこの日のスタメンを発表したという。前日にメンバーを告げるのは初めてのこと。出場予定の選手は自覚を持って、そしてベテランは優勝の余韻に存分に浸って欲しいという配慮。だがCS進出へ負けられない戦いをするソフトバンクの気迫に、押された形になった。

 明日5日のホーム最終戦(対楽天)は開幕投手斎藤が登板。そして9日に、レギュラーシーズンの最終戦(対ロッテ、QVCマリン)を迎える。

 栗山監督

 今日みたいな試合は、反省するより、捨てた方がいいのかなと思う。いわゆる、日々新たなり、だね。最後にファイターズらしい試合をして、CSに弾みをつけたい。

 優勝の余韻に浸るのは、この日まで。チームは再び戦闘モードへと切り替わる。【本間翼】