<パCSファイナルステージ:日本ハム3-0ソフトバンク>◇第2戦◇18日◇札幌ドーム

 強い絆を、左腕に乗せた。日本ハム武田勝投手(34)が献身的な思いを、81球に詰め込んだ。短期決戦の事実上の大黒柱として2戦目に投入され、6回を3安打無失点。「正直、緊張した」と心は少し揺れても、1つの誓いが忍耐の投球の生命線になった。栗山英樹監督(51)から願いを受け止めていた。「監督からは『2戦目にいってくれることがチームにとっていい』と言われた。意気に感じて投げた」。

 必勝を課せられていた。白星スタートの第1戦の先発は、昨季までポストシーズン未勝利だった吉川。今季はエース格の働きをして勢い十分だが、未知数の戦力を起用した。武田勝は大事な初戦を落とせば、2戦目では連敗ストッパー。逆ならば、一気に日本シリーズへ王手をかける役目と、重要な「2役」を託されていた。新人監督の大胆な戦略を受け入れ、重責いっぱいのマウンドだった。

 今季2度目の使命だった。3月の開幕戦、初の大役の座を2年目の斎藤に譲った。実績なら武田勝が資格十分だが、固執しなかった。斎藤がプロ初完投の快投をし、自身も勝利。開幕2連勝で、リーグ制覇の起点となる開幕ダッシュへ導いた。同じようにこの日も「最低限の仕事を必ずしたいと思っていた」。珍しくやや制球に苦しみながらも要所を締め、若手がつくった勢いをまた倍加させた。

 勝負どころで冷静沈着に、エースとしての働き。栗山監督は、試合中に「おんぶに抱っこで悪いな」と負担を掛けたことをねぎらったという。2人の信頼感が、会心の連勝劇の根底にあった。【高山通史】