<パCSファイナルステージ:日本ハム4-2ソフトバンク>◇第3戦◇19日◇札幌ドーム

 混パを制した勢いそのままに、一気に日本一への挑戦権を手にした。日本ハム栗山英樹監督(51)は「みなさんが愛したファイターズの選手たちは最高です!」と、歓喜に沸く本拠地スタンドに深々と一礼した。「秋山監督から『とにかくパ・リーグが勝って下さい』と言われて、より緊張感が高まりました」と、昨季王者の敵将から、日本一のたすきをしっかりと受け取った。

 勝負勘がさえまくった3日間だった。代打策が的中し、終盤に逆転した第1戦。第2戦は守りのファインプレーから揺れ動く試合の“流れ”を読み、早めの継投を決断。第3戦も、7回ペーニャにソロを浴び、初失点したところで先発ウルフの降板を決めた。「最後まで同点になるというイメージで戦っていた。終わったという実感がなかった」。

 選手を出し惜しみなく起用する姿勢は、短期決戦に限ったことではない。“毎試合全力”を掲げ「トーナメントのつもりで」戦ってきたレギュラーシーズンの144試合。「同じように戦えるから、それが生きるかも」との予感通り、選手たちに短期決戦のプレッシャーは感じられなかった。2つのタイムリーエラーが響いて敗退したソフトバンクとは対照的に、3試合で失策ゼロという数字が示している。

 優勝セレモニーの後、今季限りで引退するソフトバンク小久保のもとへ真っ先に駆け寄って、固く握手した。そんな人柄がチームをひとつにする。新人監督としては史上初めて全勝で日本シリーズ出場を決め、こう約束した。「北海道が天下を取るんだと思ってやってきた。選手に無理を言ってきたのは、すべて日本一になるため。全力を尽くしてつかみ取りたい」。頂点へ向け、新たな戦いが始まる。【中島宙恵】