巨人原辰徳監督(54)が、杉内俊哉投手(31)の第5戦登板を“ほぼ予告”した。巨人の最大の懸案は、CS登板回避の杉内。日本シリーズ5戦目の登板が確実視されていたが、あらためて「復帰のチャンスはあるか」との質問に、同監督は「と、思います」と即答。回避せずに登板するという認識を示した。監督会議で予告先発は議題にも挙がらなかったが、異次元的なリップサービスだった。

 「練習を見ていれば『おっ、上がってきているかな』というのは分かると思います」とも話し、着実な回復を強調。さらに、腰の前に左手を広げた。最初は親指を折り曲げ、「4」のしぐさで「んん~?」と首をかしげた。続いて5本指すべて広げて「んんん~?」とうなった。指の数は4戦目か5戦目の登板を意味することは明らか。報道陣の1人が、右手をパーにして監督に突き出すと、原監督は記者の手を指さして「んんんんん~!?」と、1オクターブ甲高いうなり声を上げた。言葉はいらない。5戦目がビンゴという意味だ。「日本シリーズは独特の異次元の戦い」と話す原監督。報道陣とのやりとりも異次元ゾーンに突入した。

 ナインにも異次元を求めた。この日、フェニックスリーグに参加していた亀井を宮崎から呼び戻した。練習前の円陣で、原監督は「15万円もかけやがって!

 ひとこと言え!」と、飛行機で何度も往復した亀井にジョーク交じりでスピーチを命じた。亀井の「15万円に見合う働きをしたいです!」という決意表明に、喝采が沸き、ナインも異次元ゾーンに導かれた。

 決戦へ、原監督の気持ちも高ぶる。「ここまで来てね、小またすくいみたいなことはないんだよ。がっぷり四つで組むんだよ。どちらも最後の力を振り絞り、明日から日本シリーズを迎えられるわけですから、思い切って、戦いたい」。最高の試合をファンに届けることを誓った。【金子航】