<コナミ日本シリーズ2012:巨人8-1日本ハム>◇第1戦◇27日◇東京ドーム
やっと「開幕白星」だ。巨人の先発内海哲也投手(30)が7回2安打無失点と好投。抜群の緩急で日本ハムのクリーンアップを手玉に取るなど、シリーズ初戦勝利に大きく貢献した。今季はシーズン開幕、そしてクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージの初戦を任されながら勝ち星を挙げられなかった。雪辱を誓っていた大一番で、見事にエースの仕事をまっとうした。
内海に点差は関係なかった。5回に迎えた、2死一、二塁の唯一のピンチ。4点のリードはある。それでも「1点もやれない。0点に抑えることで反撃の勢いを摘む」と、代打鵜久森をにらみつけた。空振り三振に仕留め、「よしっ」とグラブをたたいた。7回2安打無失点。日本シリーズでは08年西武との第3戦以来の先発白星に「完璧でした!」と笑顔を見せた。
三度目の正直だった。今季は開幕投手、CSファイナル初戦で先発したが勝てなかった。「僕で落としてチームが後手に回ることが多かった。監督に大事な試合を託していただいているのに」。レギュラーシーズンで2年連続の最多勝を獲得しても、心の中にはまだ、もやもやが残っていた。
CSで中日に王手をかけられても、リベンジの機会を信じていた。中3日で先発した第5戦翌日の22日、午前11時45分。照明がほとんど点灯していない東京ドームで内海が走っていた。スタンドの階段で、暗がりのコンコースで、約30分間、黙々と汗を流した。「いい汗をかきましたよ」と照れくさそうに笑った。この時点で3勝3敗。次があるなら、日本シリーズしかない。「そこに備えてですよ。当たり前じゃないですか」。気持ちを一瞬も切らさず、この日を迎えていた。
思いを一気に爆発させた。「何としても初戦を取る」。初回から飛ばした。CS第1戦は負けはしたが、試合中に左足に体重を乗せて左足から投げ始めるという、昨季絶好調時の感覚を思い出していた。「良い時の感覚で投げられている」と技術的不安が消えていたことも、背中を押した。「初戦なのでどんどん突っ込んでいって意識してもらえたら」と2戦目以降も考え、内角を攻めた。目先の1勝だけでなく、2戦目以降への影響も考えていた。
そんな内海を、原監督も信頼しきっていた。この日の先発を他の選手で考えたかと聞かれ「一瞬も、なかったですね」と即答。「ジャイアンツのエースとしてエースらしい、ピッチングを堂々とやってくれた。ナイスピッチングでした」と最大級の賛辞を贈った。
お立ち台で、内海は「明日も勝つ!」と叫んで締めた。これはCSで3連敗を止め、逆転突破へ勢いづけた沢村と同じ雄たけびフレーズだった。日本シリーズではエースが、巨人を波に乗せた。【浜本卓也】
▼内海が7回を無失点に抑えてシリーズ通算3勝目。巨人のシリーズ出場は33度目だが、第1戦に先発して白星は09年ゴンザレス以来9人、13度目。ゴンザレスは5回1/3の2失点で、第1戦で失点0の先発勝利は51年藤本が南海戦、56年大友が西鉄戦、70年堀内がロッテ戦(3人とも完封勝ち)で記録して以来、42年ぶりチーム4人目になる。



