<コナミ日本シリーズ2012:日本ハム7-3巨人>◇第3戦◇30日◇札幌ドーム
栗山日本ハムが、反撃開始だ。本拠地札幌ドームで巨人を下し、対戦成績を1勝2敗とした。火付け役は稲葉篤紀外野手(40)だ。2回、巨人の先発ホールトンから右中間へ先制ソロ本塁打を放った。日本シリーズでは史上3人目となる40歳代のアーチで、チームのムードは一変。3回にも3点目となる適時打を放ち、序盤で主導権を握った。大舞台7度目のベテランが栗山英樹監督(51)にシリーズ初勝利をもたらした。
最低気温わずか5・6度。体が引き締まるほどの寒気が、日本ハムの眠っていた力を呼び覚ました。先発全員の12安打で、栗山監督は日本シリーズ初勝利。お立ち台では「連敗して戻ってきて、本当に申し訳ないと思っていたが、たくさんの声援をもらって北海道っていいな、本拠地っていいなと。(先制弾の)稲葉には本当に感謝です」と心の奥から言葉を発した。
監督を感激させたのは、キャプテン稲葉だった。2回の第1打席。まったく頭にはなかった初球の127キロスライダーを「反応で」打ち返し、右中間スタンドへ放り込んだ。日本シリーズ通算5本目の1発は、シリーズ史上3人目となる40代での“不惑アーチ”。「今年一番の打ち方だった。1、2戦と先制点を取られていたので、大きな点になった。チームが活気づいたと思う」。前回日本一となった06年のMVP男が、一振りで空気を変えた。
さらに3回には、大揺れのスタンドをバックにして右越えの適時二塁打。小谷野、ホフパワーへの3連打へとつながる“口火打”で、ホールトンをKOした。「稲葉ジャンプをしていただき、思い切りホームの雰囲気の中で戦えていることが本当に力になる」と言い切る。
4月に2000本安打を達成し、今季がプロ18年目の40歳。若手と同じように、この日も早出でロングティー打撃を行った。一貫して変わらない、たゆまぬ努力。毎年シーズン前に恒例にしているのが、門外不出の「ヌード写真」撮影だ。上半身裸になって、背中側からパシャリ。数年前からの写真と見比べ、どこに肉がつき、どこが大きくなったのかをチェックする。それをもとにトレーニングされた肉体が、変わらぬ成績を生んでいる。
敵地2試合でわずか1点しか奪えなかった打線は、息を吹き返した。栗山監督は安打だけではなく、2つ決めた犠打も安心材料にあげる。「宮崎(フェニックスリーグの調整)から間が空いて、バントが心配だった。経験しながら前に進めたのはよかった」。1勝したことで、状況は変わった。「うれしいっていうか、とりあえずあさってまでできる。なんとか7戦まで持っていけるように」。栗山監督は、かぶとの緒をこれでもかというほどきつく締めた。今日第4戦もまた、本拠地スタンドの“家族”とともに全力で戦う。【本間翼】
▼40歳2カ月の稲葉が先制本塁打。稲葉の本塁打は09年<3>戦以来通算5本目(ヤクルト時代は本塁打0)。日本ハムで5本はセギノールの4本を抜いて最も多い。シリーズで本塁打を打った40代選手は92年<1>戦杉浦(ヤクルト)03年<7>戦広沢(阪神)に次いで3人目。過去の2人は代打で記録しており、先発出場した40代選手では初の1発だ。また、40代選手の勝利打点は92年<1>戦杉浦、11年<4>、<5>戦小久保(ソフトバンク)に次いで3人目になる。稲葉は日本ハムでのシリーズ出場が4度目だが、日本一の06年は打率3割5分3厘、2本塁打、7打点でMVP。稲葉が打率5分9厘に抑えられた07年、打率2割8厘の09年はV逸と、シリーズの日本ハムは稲葉のバットにかかっている。



