<コナミ日本シリーズ2012:日本ハム1-0巨人>◇第4戦◇10月31日◇札幌ドーム

 大黒柱を欠いた巨人が、延長12回サヨナラ負けを喫した。前日30日に途中交代した阿部慎之助捕手(33)が右膝痛のため欠場。ベンチ入りメンバーから外れ、試合前に宿舎に戻った。主砲不在が明らかに響き、7安打で完封負け。札幌ドームで連敗し、対戦成績は2勝2敗のタイとなった。

 考えられないミスが出た。延長12回1死一塁、投前に犠打。なんでもない一塁への送球を、ベースカバー藤村が捕球できなかった。この1年間、守備力アップの必要を求められてきた藤村だったが、大事な大事な場面で敗戦に直結するミスを犯した。もちろん表面的な敗因は藤村のミスだが、根源的には4番阿部の不在が大きかったし、痛かった。

 阿部が、欠場した。広報はこの日、あらためて「前日の試合中、右膝裏に違和感を覚えた」と患部を具体的に発表。ベンチ入りメンバーにも入らなかった。代役4番は高橋由伸外野手(37)。1回1死一、三塁と、いきなりチャンスが回ってきた。だが、由伸は遊飛に倒れ、絶好の先制機を逃した。6回は2死二塁で空振り三振。2度の得点圏で凡退した。シーズン2冠の4番にして、守りの要。そう簡単に、穴が埋まる訳がない。

 原監督は、敗戦における阿部不在の影響を問われると「まあ、しかし、それは仕方のないことですね。慎之助はチームを助けてきたし、慎之助がいないとなるならば、周りが助けないといけない。それができなかった。でも、サネ(実松)はしっかり守ったと思います」と、努めて明るく、これまで通り、全員野球を強調した。

 阿部は今日の第5戦も欠場が濃厚だ。この日はグラウンドに姿を見せなかった。室内ブルペンでティー打撃などで状態を確認。東京から駆けつけたチームドクターの診察を受け、静養が決定。試合開始前に札幌ドームを離れる際、自身の状態については「ちょっと分からない。走ってはいない。様子を見ながらだね」と話した。試合前、阿部の欠場について「明日のための、その1!」と話した原監督だったが、試合後は今日の出場は様子次第と言った。岡崎ヘッドも「明日にならないと分からない」と不在を覚悟している様子だった。

 2連勝から2連敗。高橋由は「オレが打てなかったから…」と背負い込んだが、戦いはまだ続く。原監督は「もうちょっと打線がね。仕留めに入らないと、0点では難しいね。そういう接戦のところで勝負してきたわけですから、逆に言えば、こういうゲームを望んでいるわけだから。2勝2敗という形で、明日からまた決戦です」と前だけを見た。まさに、巨人の底力の見せどころだ。【金子航】