巨人坂本勇人内野手(23)が、1日の“特別休暇”を生かして「完全復活侍」となる。アジアシリーズを初制覇した巨人は12日、韓国から帰国した。来春ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向けた強化試合「侍ジャパンマッチ2012・キューバ戦」の日本代表メンバーは今日13日、福岡県内に集合。坂本ら巨人勢は過密日程の疲労を考慮され、1日遅れの14日合流が認められた。完全回復の坂本が、アジアシリーズのMVPを獲得した勢いのまま、フルスロットルでいく。

 たった1日、されど1日。代表合流前に1日の休みが認められたことに、坂本は「ありがたいですね」と素直に感謝した。本来なら帰国翌日の今日13日に福岡入りし、日本代表に合流する予定だった。だが、国内シーズン終了後すぐに韓国でのアジアシリーズを終えた過密日程。山本監督から了承され、巨人勢は1日遅れの合流が認められた。

 史上初の「5冠」に貢献した巨人の若きリーダーに、寄せられる期待は大きい。レギュラーシーズンでは打率3割1分1厘、最多安打のタイトルも獲得するなど巨人の3番を務め上げた。アジアシリーズでも全3試合で打点を挙げ、アジア制覇に導いた。その姿を現地で視察した高代内野守備・走塁コーチは「若い選手に出てきてほしいし、センターラインは大事。当然、期待する選手の1人です」と注目していた。

 だが、疲労感は否めなかった。リーグ戦では3年連続で144試合出場。今季はクライマックスシリーズに日本シリーズ、アジアシリーズと戦い抜いた。疲労回復のため、韓国の地でも時間を見つけては入念に体のケアを行っていた。「大丈夫です」と話しつつも、疲労の色は否めなかった。

 だからこそ“特別休暇”を無駄にはしない。心憎い配慮を意気に感じ「1日お休みをいただけたので、しっかり休んで万全の状態でキューバ戦に臨みたいです」と、結果で応えようと力を込めた。アジアシリーズで見せた対応力の高さに加えて「物おじしない性格に見える」(高代コーチ)と国際舞台で戦い抜くメンタルも兼ね備えている。

 「1本でも多く打てるように頑張ります」。アジアシリーズMVPの若き侍がつかの間の休息で刀を休め、キューバ戦でもMVP級の活躍を見せる。【浜本卓也】