阪神が獲得を目指している福留孝介外野手(35)に「コーチ手形」を準備することが13日、分かった。条件だけでなく、将来のサポートも充実させて、DeNAとの争奪戦を制する構えだ。また福留がアメリカ残留の選択肢を残しているため長期戦が予想されるが、南信男球団社長(57)は越年も視野に、可能な限り返答を待つ姿勢を示した。

 阪神が最大限の準備で福留争奪戦を制する。水面下ではDeNAとの激しい争いとなっているが、条件面はもちろん、現役引退後のサポートも視野に入れている。球団幹部によると、本人の希望と合致すれば、将来的な「指導者手形」を準備する方針だという。

 野球人生をかけたFA移籍、当然、選手が抱く不安も大きい。生え抜き球団でなければ、なおさらのことだ。そこで阪神側は、将来的なサポートも約束するという。過去にもFAで獲得した選手にコーチを任せている。安心して、移籍、プレーできる環境を整える方針だ。

 内野では柱となる鳥谷の残留が決定した。捕手ではオリックスからFA宣言する日高の獲得が決定的となっている。それに比べて、金本が引退した外野は手薄なまま。それだけに走攻守にトップクラスの福留獲得にかける期待は大きい。

 前日、秋季キャンプが行われている高知に入った南球団社長と中村GMは「補強会談」を行った。獲得の優先順位を決めつつ、獲得に失敗した場合の善後策、外国人補強にまで話は及んだという。その上で、南球団社長は年明けまで福留の返答を待つかという問いに、こう答えた。

 「年明け?

 そうですね。できる限り待ちたい。まあ、早いに越したことはないんだけど」

 アメリカ残留も選択肢に入れている福留の争奪戦は長期戦となることが確実だ。それでも、可能な限り返答を待つことで誠意を示す。並行して獲得を進めている五十嵐については前日、中村GMが回答期限を11月中に設定した。それとは対照的だった。

 今後、今月中にも交渉を行うべく調整していく。DeNAに負けない条件と「指導者手形」、そして、返答を待ち続ける誠意を示して“恋人”にアタックする。