中日で“大寒波”が吹き荒れた。中日岩瀬仁紀投手(38)が14日、名古屋市内の球団事務所で契約更改交渉を行い、8000万円減の3億7000万円プラス出来高払いでサインした。セーブ王を獲得しながら、プロ入り初の減俸を受け入れた。また浅尾拓也投手(28)は5500万円減の2億2000万円、森野将彦内野手(34)は3000万円減の1億6000万円で更改。3人合わせて計1億6500万円の大減俸となった。(金額は推定)

 交渉を終えた選手の表情がこわばっていた。浅尾、森野、岩瀬。今季苦しんだ主力3選手の契約更改が集中したこの日。予想通り、“大寒波”が吹き荒れた。1日で計1億6500万の人件費カット。なかでも、球界日本人最高だった岩瀬は4億5000万円から8000万円ダウンとなり、トップの座から陥落することが確実となった。

 絶対的存在が、もろさを露呈してしまった。今季は8年連続8度目の30セーブを達成。セーブ王を獲得したが、33セーブは抑えに転向して最少だった。夏場には10年ぶりに2軍落ちを経験。今季で4年契約が切れ、ちょうど見直しの時期とも重なった。ダウン提示はプロ入り後初めてとなったが、「それぐらいになると思った」と受け入れるしかなかった。

 11月に都内でコンベンションに出席した際、今季の不振の原因が左肘の遊離軟骨にあったことを明かした。「初めてのダウンだし、やりたいことをやる」。今オフは「ナックルではないですけど、そのようなもの」という新球などにも挑戦する。単年契約の来季が「本当の意味の勝負」となる。

 佐藤球団代表は運命の1日を終えて「たまたま今日はそういう選手が重なっただけ。今日は疲れた」と疲労困憊(こんぱい)。唯一のダウン提示がなかった和田一浩外野手(40)も現状維持で更改。リーグ3連覇を逃したチームにはやっぱり、寒い冬が待ち受けていた。【桝井聡】