阪神のドラフト1位、大阪桐蔭・藤浪晋太郎投手(18)に、ダルビッシュ進化論が注入される。静岡・浜松市で7日に自主トレを行った今成亮太捕手(25)が、日本ハム時代に寝食をともにしたレンジャーズ・ダルビッシュの知られざる姿や野球への取り組みを伝授すると予告した。「浪速のダル」と言われた大物新人に、本家に近づく最短ルートが用意される。

 阪神の次代を担う逸材へ、格好の指南役が登場した。今成はこの日、静岡・浜松での日本ハム糸井らとの合同自主トレに参加。エース候補のプロ1年生への熱い思いを、打ち明けた。「藤浪はダルさんに似ている。ダルさんのことを聞かれたら、いろいろ伝えたい」。日本ハム時代には、1年後輩の捕手として、ダルビッシュにかわいがられてきた。藤浪が同タイプの右本格派だけに、後押しするアイデアが浮かんだ。

 「浪速のダルビッシュ」から、本家に近づくためのベストの教材になる。今成が語り部になることで、一般的に知られていないダルビッシュの野球に対する姿勢、素顔を知ることができる。今成は捕手として意見をかわした経験から「独特でしたね」という投手としての思考も熟知。聞かれれば、超一流と言われるスライダーやワンシームなど変化球の握り、そして配球についても、余すところなく伝える構えだ。

 今成の強みは、自らの経験にとどまらない。日本ハム・スカウトの父泰章氏は、ダルビッシュの担当スカウトでもあった。育成が難しいと言われる高校からプロへの移行期の軌跡は、父を通じて入手することも可能だ。

 今成は「ダルさんは本当、すごかった。ウエートはガンガンやったし、メシの量もすごかった」と振り返る。トレーニングでは酸欠状態まで追い込んだという。体重増のため、吐き気を催すほど胃袋に食べ物を詰め込んだシーンも目に焼き付いている。藤浪も夏の甲子園を制した後「(当時の86キロから)体重を増やしたい。80キロ後半から90キロくらいまでもっていければ」と話している。舞台裏の真実を知ることができれば、1年目、今後へとつながるメリットは十分だ。

 今成は「一緒に若手を引っ張っていけるように、自分も足元を見つめてやっていく」と共闘を誓い、全面協力を約束した。藤浪に、最強の育成バイブルが届けられる。【高山通史】