日本ハムのドラフト1位大谷翔平投手(18=花巻東)の「二刀流」がベールを脱いだ。24日、千葉・鎌ケ谷で行われている新人合同自主トレで、初のブルペン入り。近藤健介捕手(19)を立たせたまま、カーブを交えて31球を投げ込んだ。近藤は“体感”145キロ超えを断言。投球フォームを意識してセットポジションを多めにするなど、自己分析して適応する能力の高さも見せた。その後は、ヘルメットをかぶってフリー打撃。こちらも快音を響かせ、投打両面で実力の片りんを見せた。

 力を抜いた投球フォームでも、ボールは手元で伸びた。大谷が、新人合同自主トレ初のブルペン入り。その4球目。捕手を務めた近藤のミットからボールがこぼれた。1年目の昨季も1軍で20試合出場の近藤が、投球をミットの土手に当てた。「手が痛かった」。珍しいキャッチングミス。投球にキレがある証拠だった。

 大谷

 自分の中ではいいボールと悪いボールがありました。その幅を小さくできればいいと思います。今日はフォームを意識して、力を入れないようにしました。

 年始に地元岩手で行って以来、約半月ぶりのブルペン入り。ボールの回転や軌道を確認するのがテーマで、球速は二の次だったが、近藤は「低めの球も強いし、ファウルが取れる。145キロは出ている。カーブもパワーカーブ的だし、吉川さんみたいな感じ」と、力強いボールに驚き、昨季14勝したパ・リーグMVP左腕に印象をダブらせた。見守った阿井ヘッドコーチも「本当はもっと力を入れたかったんじゃないかな。抑えてたね。素晴らしかった」と評価した。

 この日投じた31球のうち、カーブは7球。大半がセットポジションからの投球だった。これは「前に体が流れないように。横振りになるクセがあるので、カーブを投げました」と、本人が考えて組み立てたもの。ダルビッシュも在籍時、体調や状態によって、セットポジションやワインドアップに変更する工夫をしていた。まだ18歳の大谷だが、自身の状態をしっかりと把握する能力にたけている。

 投球練習が終われば、次はフリー打撃。投手、野手ともほかの新人が既に午前中のメニューを終えている脇で、51スイング中、安打性18本と気持ちよくバットを振った。単純に2倍のメニューをこなしていることになるが、「このくらいは高校でもやっていたので…」と涼しい顔で振り返った。むしろ「投げた後の方が体がキレている。今日はスイング自体もよかった」と、二刀流挑戦の好影響を口にし、今後への可能性を広げた。

 順調に進めば、次クールには捕手を座らせてのブルペン投球も行われる見込み。「次は変化球?

 まずはストレートをしっかりと入れていきたいです。(球速は)僕は打者が立たないと上がらないので。どっちかといったら、試合で上がる方です」。この先が、ますます楽しみになった。【本間翼】