ソフトバンクのドラフト1位右腕・東浜巨投手(22=亜大)が初の「御前ピッチ」で強心臓ぶりを発揮した。24日、福岡・西戸崎室内練習場でブルペン投球。新人合同自主トレを秋山幸二監督(50)が初めて視察し、他の新人投手が緊張気味の中で「ナオ流」のマイペースを貫いた。

 捕手側のネット越しに指揮官が見つめる。それでもアマ時代に修羅場をくぐってきた東浜の顔色は変わらない。新人4投手の中で最後にブルペン入り。31球を投げ終え、最も早くブルペンを出た。「(監督は)目線の中には入っていたけど、意識はしなかった。アピールのためにやってるわけじゃないので」と平然と言ってのけた。

 監督の前で初投げ。新人なら緊張して当たり前の状況だ。僕はこんな球を投げますよとアピールしたくなるものだが、東浜は自然体だった。実力を出せば1軍でも活躍できるという自信によるものだろう。捕手のミットめがけ、最後まで自分の世界に没頭した。

 1球目の時点で「体の開きが早い」と冷静に修正点を発見。左足の踏み込む位置などを確認しながら投げた。「本当に修正しようとしたら長くかかるので、30球に抑えた」。春季キャンプがあと1週間に迫り、今後も考えてペース配分を優先した。昨年、高卒1年目で8勝した武田も初の監督視察でブルペンに入らないマイペースぶりだった。

 東浜の投球を見た秋山監督は「バランスいいね」とほめた。投球内容を反省していたと聞くと「そうやって、考えながら続けていけばいい」と目を細めた。練習前には、育成枠を含む新人10人に訓示した。「けがをしない体づくりをしてほしい。これからは実力の世界。試合以外は、自分のことをしっかりやれ」などと語りかけた。東浜も真剣な表情で聞き入り「そういう風にやっていけばいいんだなとまた認識した」と、心にしっかり留めた。【大池和幸】