阪神に加わった福留孝介外野手(35)が24日、兵庫・西宮市の甲子園球場に初見参した。PL学園時代にスタンドを沸かせた本拠地で約1時間、走り込んだ。自らが守る右翼のポジションもチェック。「芝が緑だった…」。2月1日から始まる春季キャンプ直前に、懐かしの雰囲気を味わった。チーム再建の切り札が、いよいよ動きだす。

 福留が甲子園に帰ってきた。真冬の日差しに、外野の芝が柔らかく光る。その上を何度もダッシュした。虎の一員としては、本拠地初見参。しかし両者の関係性は言うまでもない。印象を問われると、間を置かずにこう答えた。

 「芝が緑だった…」

 新鮮で、それでいて懐かしい。短い感想を漏らすと、豪快に笑った。「地球は青かった…」と言ったのは、宇宙飛行士ガガーリン。甲子園の偉大さに、福留は心を躍らせていた。

 ハワイの自主トレでは徹底的に下半身を鍛え、19日に帰国した。この日はキャンプに向けた荷物出しの指定日でもあり、クラブハウスを初めて訪れた。中ではチームリーダーの鳥谷らとあいさつを交わした。そして、ジャージー姿でグラウンドに飛び出し、ランニングも合わせ、1時間近く体を動かした。

 「すごいね。すごく広々として、いいんじゃないか。ホームが逆になっているわけじゃないし、大きな問題はない。懐かしい。こんな感じだったな…と」

 甲子園はやはり甲子園だった。PL学園時代には、高校生離れした打撃でセンターバックスクリーンにアーチを描いたこともある。中日では敵の主軸として、虎党を悔しがらせた。昨年末にDeNAとの争奪戦で阪神を選んだのは、“聖地”が大きな要因だった。

 メジャー挑戦中にリニューアルしたが、独特の雰囲気は変わらない。「世界に出しても、どこにもひけをとらない。高校の時からそうですけど、選手にとっては夢という球場です」。入団会見でこう表現した球場でもある。緑の芝を踏みしめながら、感慨に浸った。

 福留がダッシュを繰り返したのは、右翼から中堅にかけて。今季は「5番右翼」で開幕スタメンを迎えることが確実。自らのエリアで時折、ホームベースの方向を見つめた。

 「何もないまま、キャンプに行くのもね」

 2月1日から始まる春季キャンプを前に、本拠地のイメージを目に焼き付けた。チーム再建の切り札が、準備を整えた。【田口真一郎】