中日高木守道監督(71)が開幕ダッシュの野望を明かした。沖縄・北谷キャンプ打ち上げの2月28日、就任2年目で初めて宣言。阪神やDeNAなどの大量補強で戦力が拮抗(きっこう)、厳しいシーズンになるとの見立てからだ。開幕ダッシュを成功させるため、ベテランも特権を剥奪して総動員。鳴門での5日阪神戦などの地方開催でも山崎、谷繁、和田らを出し、調子を上げさせる考えだ。

 沖縄で最後の打撃練習を見つめた高木監督が、力を込めた。「今年はスタートから走ることが大事。スタートダッシュが必要ですよ」。キャンプ打ち上げのこの日、心はすでに開幕を向いていた。2年目で初めての開幕ダッシュ宣言。それほど3月、4月の戦いが、1年の浮沈を左右すると重要視していた。

 「去年のようにはいかん。今年は大変な厳しい戦いになりますよ」。強い危機感があった。大型補強したライバルの戦力アップは確実。開幕でつまずけば、一気に波にのまれる危険もある。特に開幕3カードは補強で変貌が著しいDeNA、阪神、そして王者巨人と難敵続き。初対決で“今年も竜は強い”を印象づけ、目指すは先行大逃げだ。

 では、開幕ダッシュのキーマンは?

 何と監督の指名は若手ではなく、ベテランだった。今年もベテラン頼みは変わりそうもないが、ねじを巻いてもらう必要がある。

 「ベテランもひとつの転換期にきとる。開幕にいい状態で入れるように、オープン戦といえども尻をたたく。地方も出ろと言っているんだ」。鳴門での5日阪神戦を手始めに、この時期では異例のベテラン総動員指令を出した。ドーム限定出場などの特権も剥奪。打ち込み希望日を除けば、寒い敵地の地方開催でも山崎武司内野手(44)、谷繁元信捕手(42)、和田一浩外野手(40)、荒木雅博内野手(35)、エクトル・ルナ内野手(33)ら助っ人も試合に出し、調子を上げさせる考えだ。

 ベテランも望むところだ。谷繁が「そういう方針ですし、もちろん出ますよ」と覚悟を決めれば、山崎も「俺は結果を出すしかない」ときっぱり。和田も「監督の考えに沿ってやるのが選手。バスから渦潮も見ないとね」と気合十分だ。その分、若手のアピール機会は減るが、これこそ本気のV奪回計画。鞍上の71歳監督がおじさん選手に愛のムチを入れ、ゴールへ突っ走る。【松井清員】