<オープン戦:阪神2-3日本ハム>◇9日◇甲子園

 やっぱり甲子園がよく似合う。阪神ドラフト1位藤浪晋太郎投手(18=大阪桐蔭)が9日、日本ハムとのオープン戦で先発し、本拠地初登板を飾った。3球目に最速151キロをマークし、4回5安打1失点。けん制ミスなど走者を背負ってからの課題は見せたが、堂々の甲子園デビューだった。

 衝撃の甲子園デビューだ。1回、先頭打者西川への1球目で、聖地を包み込む空気を支配した。148キロの速球で空を切らせると、歓声がわいた。2球目も148キロで空振り。3球目にこの日最速の151キロをマークすると、1万5000人超の虎党から大きなどよめきが起きた。わずか3球で地元ファンをとりこにし、「ファンの方も応援して下さって、しびれるというか、すごく楽しかったです」と振り返った。

 1、2回はパーフェクトに抑えた。だが、3回、先頭打者大引に左前打を許し、リズムを崩した。いきなり一塁けん制で悪送球をして無死三塁。続く鶴岡に右前に運ばれ、プロ初失点を許した。甲子園では昨夏の準々決勝天理戦の9回以来、21イニングぶりとなる失点だ。1死としてからも、西川、杉谷の連打で満塁。和田監督も「セットになったら球速が落ちる」と話すように、課題も見せた。

 しかし、並のルーキーではない。ここからが真骨頂だ。1死満塁でもアブレイユを恐れず、初球内寄りの148キロ直球を投げ込んだ。詰まらせ、遊ゴロ併殺に仕留めた。「あそこで最少失点に抑えられて良かったです。ピンチで粘れたことが収穫です」。結局、4回を投げ、5安打1失点。決め球カットボールで2三振も奪った。堂々の本拠地デビューだった。

 段階を踏むごとに、自信を付けていく。実戦に入らず、不安を募らせていたキャンプ中の2月23日、初めてシート打撃で投げた。登板後、父晋さん(49)との電話で「今日は良かったよ」と話した。晋さんに対して普段、前向きな発言をしない藤浪が、確かな自信を手に入れた証拠だった。

 この日の甲子園デビューを経て、また新たな段階に進む。次回登板は16日ロッテ戦が有力。球数を増やし、80球をめどに投げる予定だ。新たな手応えと課題を胸に、前進を続ける。【山本大地】

 ◆甲子園での150キロ

 藤浪は大阪桐蔭時代の昨年春夏に続いてこの日も151キロを計測。甲子園登板全10試合で150キロ超えを記録した。春の時点で史上初の全試合150キロ超え優勝投手の称号を得た。夏も全4試合でマーク。夏の光星学院(青森)戦では、9回に決勝史上最速の153キロを計測した。