<ソフトバンク5-9日本ハム>◇24日◇ヤフオクドーム
7年目の故郷初勝利!
日本ハム吉川光夫投手(25)が、6回3失点にまとめ、出身地・福岡での初白星をつかんだ。被安打5の4四球と苦しみながらも、今季最多タイ18安打の援護を受け、自身3連勝でリーグトップタイの3勝目。チームは今季最多9得点で勝ち、連敗を2で止めた。
吉川が故郷に錦を飾った。プロ7年目にして地元・福岡で初勝利。「(感慨は)特にありません。チームが勝ったことだけが、良かったことです」。苦しい投球だった。最初のピンチは3回。四球をきっかけに1死一、三塁とされた。ここからがエースの意地。本多を投ゴロ、内川を空振り三振に打ち取った。小さくガッツポーズした左腕に呼応するように、4回に打線が爆発。前日23日は、実家へ里帰りをした。地元での今季初登板を前に、気持ちを高めていたが、特別な白星が舞い込んだ。
昨年の大ブレークで、生活も立場も一変した。09年から丸3年も勝てなかったのが、いきなり14勝。パ・リーグMVPとなり、チームでもエースとしての役割を求められるようになった。「1試合を投げきること。試合を作ることではない」と自覚する。この日は十分な援護をもらいながら、6回5安打3失点で降板。「全然ダメ」と、悔しさばかりが口を突いた。
家族とのふれあいの中でも、変化を感じた。今年3歳になる長男も父親の職業が分かるようになった。彼にとって、プロ野球は大好きなお父さんと一緒にいる時間を邪魔するもの。2年目だった08年以降は勝ち星から見放され、2軍暮らしが長かった。主にデーゲームで登板し、夜には帰宅していたのがナイターや遠征で家を空けることが多くなった。長男の思いを知って、この1年で生活が変わったことに気づかされた。
家族と離れた時の寂しい気持ちは趣味の読書でリフレッシュ。4月上旬の東京遠征中、偶然立ち寄った書店で好きな作家である村上春樹氏の新作「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」を衝動買い。「一気に読みました」と気を紛らわした。
嫌な雰囲気を吹き飛ばす1勝となった。この日の試合前、単独最下位に沈む中、稲葉が直訴して2軍落ちした。本調子でなくても、今や家族だけでなくチームの大黒柱。しっかり役割は果たしたが、栗山監督は厳しかった。「明日、しかります。エースの道を歩んでいく中で、納得してはダメ」。地元で挙げた記念の白星を、さらなる飛躍への足がかりとする。【木下大輔】



