<巨人17-1DeNA>◇24日◇京セラドーム大阪

 畳み掛けてこそ意味がある。巨人が戦意を失ったDeNAに対しても手を緩めずに攻めまくった。7点リードした8回だった。1死から長野、松本哲が四球を選び一、二塁。そこから、坂本、実松、中井、大田、矢野、脇谷、最後は寺内の1号3ランまで7者連続安打。球団記録にあと1と迫る9者連続得点で粉砕した。先発杉内を含む出場13選手で今季最多の21安打17得点。統一球導入後では最多得点をたたき出した。

 前段で戦意を喪失させるボディーブローをかましたのが阿部慎之助捕手(34)だった。1点リードの4回無死。DeNA先発井納の内角に沈むスライダーを完璧に捉えた。曲がらないはずの?

 右肘をたたんで豪快な一撃を京セラドーム大阪のライトスタンド2階席中段にぶち込んだ。「強引にならないように意識した。スライダーをうまくさばけたよ」と、悠々とダイヤモンドを周回した。

 約24時間前に右肘に死球を受け負傷交代していた。前日23日の試合後は「肘が曲がらない…」と慎重な姿勢を見せた。だが、この日の午前中に病院でエックス線検査を受け、幸い骨には異常なし。不安は排除された。球場に到着するとバットを片手にベンチ裏の練習場に向かい、打撃の感触を確かめ準備を進めた。

 首位を独走している状況を考えれば、大事をとっての欠場も選択肢としてある。だが阿部自らが一蹴した。21日の広島戦で3点のリードを追いつかれ、延長サヨナラ負け。「勝てるゲームは絶対に落としちゃいけない。そうしないと流れが変わる」と危機感を持った。だから、この日も、当たり前のように「4番・捕手」で先発。5回無死一、二塁の第3打席でも2点適時二塁打でとどめを刺した。

 原監督も「本人が『いける』と言ってくれた。中心選手としていいバッティングをしてくれた」と、主将の心意気に敬意を示し「今日は全員が集中して1試合1球を大事に戦った。いい試合でしたね」と、チーム全体の戦いを評価した。強い巨人じゃない。強すぎる巨人が連覇に向かって、真っすぐと歩を進めている。【為田聡史】

 ▼巨人は8回に9点を挙げるなど、21安打で17点の猛攻。巨人の1イニング9点以上は09年8月12日広島戦の7回に9点を記録して以来だが、この日は代走鈴木から寺内まで9人連続で得点。1イニング9人連続得点は41年5月11日阪急戦の4回、75年7月6日広島戦の3回、03年4月27日横浜戦の8回(10連続)に次いでチーム4度目だ。1試合21安打以上は09年8月12日広島戦の23安打以来となり、1試合17点以上は19-3で勝った05年6月12日西武戦以来。16点差の勝利も前記西武戦以来と、いずれも統一球導入後はチーム初めての猛打だった。