<ソフトバンク2-5日本ハム>◇25日◇ヤフオクドーム
不在の稲葉さんの分までおれがやる!
日本ハム中田翔内野手(24)が自身5度目となる1試合4安打の固め打ちで、チームに4カードぶりの勝ち越しをもたらした。初回2死三塁から左前に先制適時打を放つと、5回には3点目の中押し適時打。単打ばかりの4打数4安打2打点で今季2度目の猛打賞だ。前日24日に今季最多タイの18安打で勝利したチームで1人蚊帳の外(無安打)に終わったうっぷんを晴らした。
玄界灘の夜風を受けながら、大仕事に浸った。今季初の4安打のヒットパレードの中田が、精神論を説いた。「何とか、食らいついてやろうというのが形になっているよね」。1回に先制の左前適時打を放つと以降、3打席もコツコツとHランプをともし続けた。主導権を決定づける2本の適時打で、4カードぶりの勝ち越しへ導いた。栗山監督が「稲葉がいない中で、こういう姿がね」と勝負どころで、働いた24歳の主砲に最敬礼した。
モヤモヤを晴らした。前夜、今季最多タイの18安打と打線が爆発して快勝。中田だけが先発9人で無安打に終わり「打っていないのオレだけ?」と少しだけ意気消沈していた。試合後、携帯電話をチェックすると、1通のメールが届いていた。24日に不振のため直訴して2軍降格し、都内に滞在していた稲葉兼任打撃コーチからだった。「何してんの」。5、6打席目に連続三振でフィニッシュしたことへのゲキだった。
4度の快音を積み上げ、恩に報いた。中田は「全然、ダメです。どうしましょう?」と、すがったという。三振の映像はチェックしていなかったが、WBCでも一緒だっただけに、あうんの呼吸。スランプに陥いる時の中田の特徴は、稲葉は完全に把握済み。脳裏で妄想しながら「こういう感じで、こうすればいいんじゃないか」と、文章でピンポイントにレクチャーしたという。遠隔指導の効果てきめん、ミスショットなく仕留めた。
本物の4番の風格を試合前から、漂わせていた。ソフトバンクの練習時間に相手の大砲コンビ、ラヘアとペーニャに接近。英語は堪能ではないはずだが、なぜか身ぶり手ぶりでコミュニケーション。周囲の球団スタッフが「中田は何を話しているんだろう?」と目を丸くするほど、実績十分の助っ人勢とも渡り合う。そんな腹の据わりが、スイングにも表れている。先制打は帆足のスライダーを捉えた。試合前から「スライダーとチェンジアップ」と狙いを定め、迷いなく勝負して、打ち勝った。中田が最下位からの逆襲の灯を、ともした。【高山通史】



