<西武8-4楽天>◇29日◇西武ドーム

 「楽天のAKB」が解散危機だ。菊池保則投手(23)が先発し、3安打3四球と大乱調。1死も取れずに降板し、4試合連続でKOされた。星野仙一監督(66)は「(チャンスは)もうない」と断言し、2軍降格は確実。昨秋キャンプで命名された「AKB闘将ファイブ」のメンバーである戸村、辛島、釜田、塩見らは2軍調整中で、最後のとりでの菊池も脱落した。連敗でオリックスと同率最下位となった。

 現実は厳しかった。先発の菊池が先頭打者へ4球連続ボール。自滅から崩れ、3安打3四球で1死もとれない。しびれを切らした星野監督は即交代を告げた。試合後、穏やかな口調で「今日はやってくれるだろう、今日はやってくれるだろうと思って何回もチャンスを与えてるのに。チャンスはいっぱい転がってる。それをものにしない。もったいないな」。期待を裏切られ、寂しそうに話した。

 これが4度目のチャンスだった。今季初先発した4月8日から3試合連続で5回持たずにKO。再調整を告げられてもおかしくない成績だった。それでもチャンスを与えた。1死も奪えず5失点で4敗目。ふたを開けてみれば、結果は残酷なものだった。

 昨秋から高く期待していた。星野監督は菊池、戸村、塩見、辛島、釜田の若手に連日1時間、自らノックを打って足腰を鍛え上げた。ノックの時に「捕れ、アホ(A)!」、「走らんか、この野郎(K)、バカ野郎(B)!!」などと発した言葉にちなみ、5人組は「AKB闘将ファイブ」と命名された。その中でも「キク(菊池)は走れるんだよな」と同監督は感心していた。後半で体がへばっても、ボールを必死に追い掛ける根性は人一倍だった。

 だが、メンバーは続々と“脱落”した。塩見は肩、辛島は肘を痛め、戸村は体調不良で開幕前に離脱。釜田は開幕から不調で2試合連続KOとなり、17日に2軍に降格した。残るは菊池1人となった。しかし、星野監督は次回登板のチャンスについて「もうないね」と断言。最後のとりでも1軍で結果を残せなかった。

 このメンバーが奮起しなければ上位進出は望めない。辛島の復帰は夏以降の見込みだが、釜田は27日のイースタン・リーグ西武戦で9回4失点完投。戸村はこの日2軍戦で先発し、塩見も順調なら5月中にも先発復帰する予定だ。「下(2軍)にもいない」と層の薄さを嘆く星野監督を見返すしかない。【斎藤庸裕】